蕨姫花魁のお気に入りの遊女は……

騒動 ページ16

善逸視点


善逸「勝手に入ってすみません。部屋がめちゃくちゃだったし、あの子が泣いていたので…」


動揺をどうにか鎮めて、蕨姫花魁と向き合う。


蕨姫花魁は綺麗な柳眉を顰めて俺を鋭い視線を向けた。


蕨姫花魁「お前、不細工だねぇ。気色悪い……。死んだ方がいいんじゃない？」


蕨姫花魁「何だい？その頭の色。目立ちたいのかい？」


善逸「………」


この人、本当にAちゃんの慕ってる人？


全然、優しくないけど。


思わず、そんな事を思ってしまった。


蕨姫花魁「…確かに部屋はめちゃくちゃなままだね。片付けておくように言ってたんだけど…」


蕨姫花魁は泣いている女の子の耳を引っ張った。


「ギャァ…！」


蕨姫花魁「五月蝿い！ギャァじゃないよ！部屋を片付けな！！


我慢できなかった。


まだ幼い子に平気で暴力を振るって、怒鳴りつけて。


「ごめんなさい！すぐやります！！許してください…！」


善逸「……っ」


俺は蕨姫花魁の手首を掴んだ。


勿論、蕨姫花魁には怒りと蔑みの眼差しを向けられたけど。


蕨姫花魁「何？」


俺は蕨姫花魁を真っ直ぐに睨み上げる。


善逸「手、離してください…！」


蕨姫花魁「………何だって？」


善逸「手、離してください…！」


蕨姫花魁「よく見ると更に不細工！…そのお前が、私に！」





次の瞬間、俺の頬には衝撃が走ったかと思えば俺の身体は壁に打ち付けられていた。

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