broken emotion VI

289《nakazima》 ページ42

有「…なぁ、裕翔お前学校で何があった」


ずっと黙った俺に大ちゃんは言った


「さっきの人達と関係してる…よね？」

中「え…と…」

知「…いじめられてる、とか？」


知念の言葉に皆が黙ったまま俺を見る

知念の言ったことは、正解か不正解かで言ったら正解だ

だけどそこまで深刻ではない…はず


中「虐めってほどでもないんだけどさ…」

「私たちで良かったら力になるよ？」


Aちゃんは喧嘩でもふっかける気なのか

さすがにそれはやめておいて欲しいけど…


中「俺、クラスの男から無視されてんだよね」

有「え！？」

知「大ちゃんボリューム考えて」

有「はい…」

「理由は？」

中「それはよくわかんないんだけど… 俺が金持ちの息子だからかな？」


ははっと笑っておどけて見せたけど、3人にそれは通用しない


有「なんだそれ。意味わかんねぇ」

「ただの嫉妬じゃ…」

中「俺の考えではね？」

知「ねぇ、ちょっと気になったんだけどさ」

中「ん？」

知「女の子とはどうなの？」

中「こっちをチラチラ見たりしてくるんだけど話しかけて来ないし、話しかけるとキャーって言われるし… あんまいい関係ではないかな」


そう俺が応えると、3人は黙ったまま顔を見合わせた

何？と聞くようにみんなの顔を見ると、知念にため息をつかれた


有「男子が無視する理由…もう一個見つかったわ…」

中「え？」

知「ゆーてぃーって鈍感なんだね」


2人の言葉の意味がよくわからずに固まっていると、Aちゃんが俺に言った


「裕翔、それって多分…裕翔の事が気になってるって事だと思うよ？」

中「…へ？」

有「要は、女子にモテモテで金持ちのボンボンのお前に男どもが嫉妬してるってだけ！」

中「なんだそれ」

知「こっちが言いたいわ」

「裕翔カッコイイもんね」


Aちゃんの一言でまた静かになる

俺もこの言葉には驚いた


「えっ…と……なんか変なこと言ったかな？」

知「…いや、別に」

有「ねぇ、Aちゃん！俺は？」

「え？」

有「俺はカッコイイ？」


なんてことを聞くんだ大ちゃんは

Aちゃんだってびっくりして…


「うん。侑李も大ちゃんもカッコイイよ」


…優しいね、Aちゃん


ふと知念を見ると、ご機嫌な顔

大ちゃんはあからさまにご機嫌で俺が奢る！なんて言ってしまう始末

ま、俺も人の事言えないんだけどね


中「Aちゃんも可愛いよ」

「え？…ありが、とう？」


俺の虐め問題の悩みは不思議に終わった

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