問題児83 ページ38
結局課題を増やす話はなんとかなくなり、そのまま一限が始まった。
まだ眠る気にもならず窓の外を見ながらボーッと話を聞く。
数学の授業で、訳の分からない英数字が飛び交う。
久しぶりに聞く授業は何かの呪文のようで頭が痛くなった。
今日は晴れてるなぁだとか、あの鳥達は付き合ってるんだろうかとか考え始めた。
しまいにはやはり下の子達のことで頭がいっぱいで…
天音と愛音は幼稚園の劇の練習頑張ってるだろうかとか、耀は学校楽しんでるだろうかとか、結斗は今日もバレーを全力でしているだろうかとか考えながら重たい頭をゆっくりと机に伏せた。
自然に落ちるまぶたと共に最後に考えたのは今日は暑いなぁという事だった。
それから次に目が覚めた時は時計の針は11時を指していてクラスメイトは誰ひとりとしていなかった。
机に入っている数少ない紙を引っ張り出して時間割を見る。
(あぁ、体育か。
今やったらどうせ体育祭のなんかしとるんやろな)
みんなの姿が見えると思い、グラウンドへと目を向けてクラスメイトの姿を探す。
少し窓を開けてそこから顔を覗かせた。
窓からふわりと夏の風が吹き前髪が揺れた。
ピストルの音が聞こえて、思わず足がピクリと反応した。
一斉に走り出す生徒を眺めて、目が離せなくなって心がズキズキと痛んだ。
体育に参加しないのは自分で選んだこと。
陸上を辞めたのも自分で選んだこと。
なのに心のどこかでいいなと羨ましがる小さな気持ちがあって。
だって、誰かにやめろって言われたわけでもないし自分で決めたことなのに…
勝手に背負って自分で追い詰めてバカみたいだなぁって笑った。
今は50m走らしく、みんながそれぞれに走ってる。
羨ましくて心が痛くて体がうずうずした。
こんな気持ち忘れなければいけないのに、体は正直で今すぐにでもグラウンドに行きたいと言っている。
ゆっくりと教室を後にした。
頭の中がグラグラしてる。
走りたい、痛い、走りたい、戻りたい…
それなのに、階段を降りるのが異常に遅くて…
まだ階段は何段もあるはずだった。
それなのに急に近くなる床。
それでもなぜか冷静な頭は状況を理解していた。
スローモーションのように景色が流れ、体に痛みが走る。
そこで意識は途切れた。
1424人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
7℃(プロフ) - みんみんさん» いつもみんみんさんがコメントしてくれるのでまだ見てくれる方がいるんだと実感し頑張れます、ありがとうございます!そんなに沢山見てくださってるのならもっと更新頑張ります!!ありがとうございます!!好きです! (2020年12月27日 18時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - もう、この作品好きすぎて!!ほんとに!更新されて気になってバッて読んで、2回目にじっくり読むことが習慣になってます!これからも更新頑張って!!7℃様、だっっっいすきです! (2020年12月27日 10時) (レス) id: 6f58e756c0 (このIDを非表示/違反報告)
7℃(プロフ) - にゃーさん» こんにちわ!更新してます!特に土曜日は更新する暇あるので!! (2020年12月13日 14時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
にゃー - こんにちは!更新されてるぅぅ!やっぱり侑素直やないなぁ。 (2020年12月13日 13時) (レス) id: bb97bc99e2 (このIDを非表示/違反報告)
7℃(プロフ) - みんみんさん» やっと少し余裕が出来たのでたくさん書きます!疲れすぎて倒れないように気をつけてくださいねえええ! (2020年12月11日 13時) (レス) id: edd2872306 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:7℃ | 作成日時:2020年10月17日 19時