失敗人生2

73話 ページ27

次の日からはまた何事もなかったかのようにいつもどおりの部活が始まった

「見合いはここですんなや」「そこは声出さんとやろ」

大会は終わったばかりだが監督たちの熱量は大会前と全く変わらない。僕たちもそうだけど、監督たちも相当2位という結果が悔しかったのだろう

「チャンスボールをセッターに返さへんでどないすんねん！」

「今のはちょっとミスっただけやん」

そして普段からバレーに熱い侑もまた、大会直前と変わらないくらいバレーへの熱量が凄い

「そんな下手くそコートに要らんねん！下がれや！！」

侑が言う言葉は冷たいがそれはすべてバレーが好きで本気だからだと、少なからずここに居る人たちは分かってる

「侑は言い過ぎ。機械じゃないんだからミスくらいするだろ、お前も」

まあ、分かって入るが流石に止めに入る。じゃないと殴り合いみたいな喧嘩始まるかもしれないし

「次絶対ちゃんとせーよ！！」

「わかっとるわ！」

双子の唯一良かった所というか、不幸中の幸いなのは侑よりも治のほうが精神的に大人だということ。まあ、DNAは同じだし警戒しとくけど、侑の性格が二人じゃなかったのがまだいい

「ほら！喋っとらんで再開や、再開！」

この場所に入れるのは多分僕の実力なんかじゃ絶対に無理で、あのスパルタな父からの指導があったおかげ

本当に辛かったし、嫌だったから感謝なんてしたくない。おかげなんて思いたくない。

だけれど、あのときにバレーを楽しいと思えなくなった代わりに今この場にいることができてる

そう思うと少し複雑な気持ちになった

74話→←72話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す