失敗人生

13話 ページ16

いつも通り始まった朝練。朝練にしてはハードな内容にさすが強豪校だなと思ったのは今日で何度目か

「サーブ！」

時間的にサーブで朝練は終わりになるのだろう

誰にも期待なんてしていない。奈落の底で必死にもがいている僕は、ずっと1人ぼっちなんだ

コートには6人いる。けれどサーブは僕1人だけ

強くならなきゃいけない、1人で生きて行くために。

いつもよりも集中しながら僕はサーブの練習をした。もっともっと、強いサーブを。

「今日張り切ってるね」

角名のその言葉に僕はサーブを打つ手を止めてヘラっと笑って見せた

「対戦相手もわかったし、頑張らないとね」

チームも仲間も要らないから。僕は1人で生きる為に強くならなきゃいけないんだ

なんて言える訳もなく、適当に言葉を言って誤魔化す

息をするかのように嘘を言う僕はもしかしたら虚言癖の持ち主なのかもしれないな、なんて思う事がたまにある

でも僕の嘘に気づく人なんてほとんどいないし、たまにしか気づかれない

言葉は口から出てしまえばもはや本当の事実に変わるのかもしれない

「ふーん」

僕の言葉に何かを疑うように、裏の顔を探るように目を細めてサーブ連を再開した角名

そんな角名を見て僕も再びサーブの練習を再開させた

朝練が終わる頃には全身汗でびしょびしょでとても気持ち悪かった

「置いてくよ」

僕と治よりも早く片付けが終わった角名は僕たちを急かすように言ってきたが、僕も十分急いでる

「あとちょい！」

畳んだジャージを袋に入れてからバックに詰め込んだ

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