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趣味の範疇である、ドールオーナーについて言えたことで多少肩の荷が降り
安心したかの様に思って息衝くが、甚だしくも出しゃばって焦る鼓動が油断してはならぬと警鐘を鳴らす。
ひけらかしたい訳では断じてなかったし、ウチの子可愛いでしょ感はバリバリに出していたとは思うが反社に引かれる程酷くはないと信じたい。
実際愛らしいのは事実だけども、造形品だから当たり前
そう言う意見は百も承知しているから、頼むので今更そこをつつかないくれと願うばかりだ。
「へー、綺麗なもんだな…ボディペイントにメイクか
これ海外製か?」
『ぅん、韓国の子で高校生の時に初めて買って』
少しでも興味を持って貰った事がアホみたいに嬉しくって
目立つ様な傷は勿論、目に付く経年劣化に付け加えて黄変だって頑張って避けた事がたった今報われた気がする。
「先に車戻ってるから、なるだけあくしろよ」
だが僅かでも時間が経過すれば興が冷めてどうでもよくなったのか、欠伸を溢しながら大量のぬいぐるみを両手に抱えて部屋を出て行ってしまった。
仕舞いに残ったのは僕1人。
此処に来るのがもう最後だと考えると離れ難いのは人の性だろうか、若しくは帰巣本能?
意義すら求めていない問いに答えてくれる人は誰も居らず、心の中にポッカリ空いた虚空を無視して扉へと手を伸ばす。
今も尚あちらこちらに残った家具の所為で実感が湧かないが、今回だけでもマシだったんだと自分に言い聞かせてドアノブを回した。
此処から先に出たら自身や周りの命が危うい事を薄々悟りつつ、それでも今はそうしないと生きれないと繰り返して。
「おせーよ、退屈過ぎてお前ん家燃やすトコだったわ
これでも一応大人しく待ってたんだぜAチャン」
『ハイハイ、偉いっすね竜胆さん
…ジブンこれでも早くしたつもりなんですが』
乱暴に高級車の扉を開けて中に乗り込めば、疾うに非難轟々な上に態度がクソ悪ぃ
態とらしくおちょくった口から出てくるちゃん付けに対抗して、貼り付けた笑顔と敬語で揶揄ってみる。
予想通りの反応で一々怒りを顕にして態度に示してくれる彼、その内に街路樹を通り過ぎて梵天の敷地内に入っても此方を睨む竜胆さんが可愛くて仕方ない。
車を降りた後、手を差し伸べて笑みを浮かべた。
『お手をどうぞ、お嬢さん?』
「チッ、調子乗ってんじゃねぇぞ
今度ゼッテェ泣かしてやる」
…じゃあ僕は、画面の中で竜胆さんを啼かすよ
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わいt - いつになったら更新してくれるんですか!楽しみすぎて死ぬって!! (7月27日 22時) (レス) @page35 id: 258f12dfbe (このIDを非表示/違反報告)
乾燥(プロフ) - くっ...好みすぎて...ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ無理しない程度に毎秒更新待ってますぬ... (2023年1月1日 18時) (レス) @page35 id: c00320f8c9 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 莉夢#梵天の信者さん» ありがとうございます!あわわ、神がおるww貴方様の作品も本当に大好きです。 (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 雪の兎さん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります(*^^*) (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
莉夢#梵天の信者(プロフ) - あぁ、、、好きです、、、(*‘ω‘ *)最高。 (2022年9月24日 16時) (レス) @page19 id: 9e38cf74ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寝ん子 | 作成日時:2022年9月14日 7時