傍にいるコト

Ki × F ページ9

F side


「先に入ってるから」

そう言い残して、シャワーを浴び始めた。

男同士の風呂くらい慣れたものだ。

...でも、相手は北山さん。

それだけで胸が高鳴る。


それにしても遅いな..



のぼせてしまう前に風呂場から出ることにした。





「おーい、北山さん？」




何度呼んでも声が帰ってくることはなかった。




ただ一つ。


残されていたものは、俺が少年時代に“ひろ”のために作った小さなネームプレートだった。





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Ki side

〜天界〜

神様『ひろ、お前に言っておきたいことがある。』

「.. はい。なんでしょう。」

神『明日の朝、お前の御主人だった藤ヶ谷が交通事故に巻き込まれる。』

「.. ！！！たぁが..？」

神『流石のワシでも死神の決めた事には手出しできん。』

「神様！お願いがあります。」



------- 僕の望みは叶えられた。

滞在期間は1週間。

身体は人間だが、尻尾だけはついたままだ。

そして、期間を過ぎれば、すぐに戻される。

天界では一番厳しい刑の、反逆罪。

つまり、地獄行き。




そんなの正直、どうでもよかった。

たぁを助けられるなら。

きっと僕を叱って閉め出してしまったこと。

鎖に繋ぎ忘れていたこと。

僕が勝手に家から出て行ってしまって、事故にあってしまったこと。

何より、

あの事故が、たぁのせいだと思わせてしまっていること。








やっと、僕の罪滅ぼしが出来る時が来た。








僕はたぁの“ひろ”なんだから。

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