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「……ったく、あのじーさん何やってんだよ…
落としたらすぐ判るだろうが…」
『(これは真逆)』
《(真逆だね)》
同じ煙草の匂い、
落としたらすぐに判りそうなもの、
そして多分落とした人を"じーさん"呼ばわり…
これはビンゴなのでは?
『…あの』
「あ?」
『探し物はこれですか?』
シガレットケースを差し出すと、この人の顔が驚きに僅かに動いた。
どうやら当たりみたいだ。
「あんた、これ何処で見つけたんだ?」
『えーと……さっき事故があったみたいな所を
通りかかった時に…』
「やっぱり彼処か…。いや悪いな、手間掛けさせちまって」
あ、そんなに怖くないかも。
ネコがあんまり警戒せずに頭撫でさせてるから。
シガレットケースを受け取った男の人はネコを撫で乍ら丁度着信を告げた携帯にまた向き直った。
思いもよらない内容だったのか、小さく あ? と
口にしていた。
「…なぁ。あんた此れから用事あるか?」
『いや、特に無いけど…』
「じーさんが見つけてくれたあんたに礼がしたいんだと。ちょっと付き合ってやってくれねえか?」
.
◆ ◆ ◆
.
「手を煩わせてしまって申し訳ない。
だが届け出てくれた事に感謝を伝えたくてな」
『いえ、そんな。僕はただ拾っただけですから…』
僕と云うより彼が、だけど。
立原さん(名前教えてもらった)からお礼がしたいと
云う人の連絡を受けて暫く待っていると、その人が来た。
長めの外套に飴色のストール、片眼鏡の奥の瞳は
探し物が見つかった事への安堵の色が見える。
「確りしてくれよじーさん。次は見つかるか判らんからな」
「…善処しよう。処で、君は探偵社の…」
『やっぱりもう割れてるか…。清です。重松清。
こっちはネコ』
「…あ!?お前探偵社員だったのか!?」
『えっ?今更?』
「私は伝えた筈だが」
「……マジか」
立原さんは気まずそうに目を逸らす。
大丈夫です。ド忘れって良くあるから。
最近僕も良く起こるんだよなぁ…。
「そうか…では君が太宰君の所の山猫か」
『そう呼ばれてんの僕…』
「太宰君は相変わらずかね」
『遣る気スイッチが溶けたみたいだけど
一応通常運転してますよ』
「…そうか」
「爺孫の会話じゃねーか」
…そう云えばこの人たちマフィアだった。
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闇少女(プロフ) - ありがとうございます!お願いします! (2018年4月17日 21時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
のら猫(プロフ) - あ…あ…ありがとうございます…!( ;∀;)黒蜥蜴!確かに出てなかったです!ザアパルク後ら辺にいきます(*´-`) (2018年4月17日 7時) (レス) id: 92e6776368 (このIDを非表示/違反報告)
闇少女(プロフ) - 黒蜥蜴と絡んでほしいです。更新頑張ってください! (2018年4月16日 17時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のら猫 | 作成日時:2018年4月8日 17時