天羽組 永瀬 リク ページ39
*
「おかえりなさい!」
「………」
その姿を見た瞬間、何とも言えない罪悪感を覚えたのは
気の所為ではない
「……ただいま」
永瀬の視線の先にあるもの……それはAが大事に抱えている
ぬいぐるみに向けられていた
「(言えねぇよな。まさかその人形……)」
それは永瀬が守代を受け取りにとある企業へ訪問した時の事
「新作?」
いつぞやのデートでAがハマっていると言っていたアニメの
ぬいぐるみがそこに置かれていた
「今度ウチで販売する事になってまして……良かったら
一つ持っていきませんか?」
「いや、俺は」
そこまで言いかけた時、ふと思った
「……貰います」
Aに渡せばいいじゃないかと。そうすれば社長の顔も
立てられる
こうして永瀬はそこまで欲しくない土産を片手に組へと
戻るのだった
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「(まさかそんな感じで貰った……なんて言えねぇよな)」
Aからすれば自分の好きなアニメを覚えていて探してきて
くれたと思っている。気まずい……
「お前さ。そんなんで良いわけ?」
「え?」
「たかがぬいぐるみだろ。そんなに喜ぶ理由が分からねぇよ」
「だって可愛いし……光一さんがくれたんですもん。嬉しいですよ」
渡世に生きる自分にとってAから向けられるこの笑顔は
眩しいとかそんなレベルじゃない
こんなので喜ぶならいくらでも渡す。恥を忍んでファンシーな
雑貨屋にだって行ける
「この子、光一さんに似てると思いません?」
間違っても自分はこんな可愛いキャラじゃない。共通しているのは
イメージカラーが赤という部分のみ
一体どこをどう見たら似てるなんて思うのか……Aの感性は
未だに理解出来ない部分がある
「(俺に似てる……ねぇ)」
数日後。綺麗にラッピングされた袋を抱えて永瀬は帰ってきた
「わぁっ!?可愛い……!!」
白をベースにした何とも可愛らしいぬいぐるみ。さっそくAは
この前渡されたプレゼントの隣に飾る
「光一さん。ありがとう!」
「……別に」
それをひと目見て永瀬は頭の中にAが浮かんだらしい
「(俺に似てるって言うから……)」
自分の隣にAがいないのが嫌だったから。わざわざ似てる
ぬいぐるみを探して……
「なれない事はするもんじゃないな」
「え?」
「何でもねぇよ」
どうせなら最初からこうやってちゃんとした物を渡せば
良かった、そう思うのでした
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ゆず(プロフ) - 楓さん» お待たせしました! (1月8日 0時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - リクエストありがとうございました🙇♀️ (1月8日 0時) (レス) id: fa3afa321a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - バイさん» いえいえ!本当なら年内に公開したかったのですが……遅れて申し訳ありません! (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - みはるさん» そんなもったいないお言葉を!ありがとうございます☺️ (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
バイ(プロフ) - リクエストありがとうございます!!やはりゆず様のお話どれも最高です…! (1月4日 12時) (レス) id: 1753987474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年8月7日 17時