バグ大 イケおじ短編集

エルペタス　大丸 ページ48

*元々のコードネームは向日葵
*例のシーンをかなり捏造
*記憶喪失










交渉は決裂。そもそもエルペタスは自分達と話し合うつもりなど
最初からなかったのだ


「我々は毛利派抹殺および向日葵を連れ戻すように
　命じられている」


世良と呼ばれるその男はAに視線を向ける


「お前は元々エルペタス側の人間だ。ボスは早く
　自分の所へ戻って来るようにと言っている」

「……」

「ふざけるのもいい加減にしろ。Aは俺の秘書だ！！」


その一方的な物言いに腹を立てた毛利は青筋を立てながらも
冷静さを保とうとしていた

だが教え子を侮辱する発言を世良が口にした事により
堪忍袋の緒が切れた毛利が拳銃を取り出し発砲

それを皮切りに一同はこの場から退散を決める。隠れていた
鵺と金鳳も参戦し、なんとか一人も欠ける事なく脱出する事が
出来たのだった




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モーリーの事務所に戻って来た一同は今後の作戦を立てるべく
皆、神妙な面持ちで思考を巡らせていた


「私が、エルペタスに……」


ただ一人、Aは世良の一言を繰り返している。恐らく
世良の言っている事に嘘はない。だとしても一体どういう
つもりで戻ってこい、なんて言っているのか……


「A。何か思い出せないか？」


龍臣のその問いに答えたくとも答えられない。何しろAは
１６歳より以前の記憶がすっかり抜け落ちているのだから


「……ごめんなさい」

「龍臣、無理をさせないでくれ。何も思い出せない事に
　苦しんでいるのは他でもないAなんだ」





結局、具体的な策が決まらないまま解散。各自仕事をこなしつつ
改めて毛利から連絡が来るのを待つ事になった


「A。俺は君を引き取った事を後悔などしていない」

「毛利さん……」

「安心しろ。エルペタスになんぞ渡さないからな」


その大きな手のひらで頭を撫でられた……その時だった




＿＿お前が酒の飲める大人の女になったら考えてやろう




「＿＿さん？」

「どうした」

「っ、いえ何でもありません……」


幸せそうに笑う過去の自分、そして……駄目だ。その傍らに
いる男の顔は霧の様なもので隠されている


「(一体、誰なの……？)」


その顔に陰りがかかっている事に毛利が気が付かない筈が
ないのだ



*

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