バグ大 イケおじ短編集

天王寺組　大嶽 ページ46

*夢主←←←大嶽(無自覚)





一言で言えば気に食わない。それに尽きる

他の組員には眩い笑みを向けるというのに自分には一切……どころか
目線すら合わせない


「大嶽のカシラ……書類お持ちしました」

「ご苦労さん」


少々気が弱いという部分が気にはなるが仕事に支障が出る程では
ないので大嶽自身はそれに対して叱りつけたりした事はない

そもそも武闘派として引き入れた訳でもないから尚更だ


「そんなに俺が怖いか」

「……え」


気がつけば書類を持っていたその手を掴んでいて、何とも
答えにくい事を問うていた


「そ、そんな事は」

「下手な嘘は止めんかい。見てたら分かるわ」


ここでようやくAは大嶽の顔を見る。明らかに不機嫌そうな
その表情に思わず顔が強張るのを抑えられない


「あの、私、仕事に戻らないと……」


軽く引っ張っただけでAの軽い体はすぐにバランスを
崩してしまう。そのはずみで大嶽の膝の上へ座ってしまい……


「うぁっ！？す、すみませんっ」

「そんな嫌がらんでもええやろ」


するとここである事に気がつく


「何を赤くしとんの」

「あ……」


耳が赤かった。いや、そこだけじゃない

今気がついたが頬まで赤くなっている。一体何なのかと
考えているとAは離して下さいと懇願してきた


「……無理や」


その瞬間。奥底で何かが燃えたような気がする

自分に靡かないその態度を崩したいと考えた大嶽は逃げられない
ようにその腰に手を回す


「そんな可愛い反応されて離すほど男捨ててないで」

「か、カシラ……っ」

「A」


頬に手を添え、その唇が重なろうとした……その時。扉をノック
する音が部屋に響いた


「っ！」


一瞬の隙をついてAは急いで膝の上から退いて部屋を
飛び出す

途中、岸本が怪訝そうな顔で見つめてきたがそんな事を
気にしている余裕なんかない


「……もう少しやったのに」

「何してたんですか」

「岸本。お前が邪魔してくれたせいで何もせんかったわ」

「す、すみません……？」


何がともあれ大嶽の機嫌は先程よりは幾分マシになっていた


「(ええ顔しとった)」


初めて見たAの表情と初々しい反応。密かに口角が上がる


「これから楽しませてもらうで」

「何か言いましたか」

「お前には関係ない」


果たしてムカデに睨まれたAは逃げ切れるのか。それは
火を見るより明らかである





「A」

「耳元で喋らないで下さい……っ」

「すまんなぁ」

「ですから耳……！！」

「(可愛ええなぁ)」




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