バグ大 イケおじ短編集

天王寺組　三國　※ ページ24

*内縁関係







「あかんなぁ……俺の側から離れようなんて……
　いつからそんな悪い子になったん？」



楽しげな表情とは裏腹にその声色は側近の陣内ですら
恐怖を感じる程に冷たい



「なぁ陣内……何で別れを切り出されたんやろうな。
　俺、大切にしてたんやで？」

「すぐに探します」

「それはええ。場所なんかもう分かってる」

「ならすぐに迎えに行かれた方が……」

「かくれんぼで遊びたいんやろAは。ならちゃんと
　遊んでやらんとな」




離れるのは許さない。けれどそれをただの戯れとして
楽しもうとする……三國の考えは相変わらず理解できなかった




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Aが三國の元から離れて既に二週間が経過している。
ビジネスホテルを転々としているがそろそろ本当に大阪から
離れる事を考えなければならない

別にAは三國の事が嫌いになった訳でない。ただ危険な目に
合わせたくないからと外出は許さず、自分がどうしても側に
居られない時は組員を護衛につけ……



「疲れた……」



内縁とはいえ、組長の妻である以上それは仕方がない。しかし
その関係だってそもそも三國が強引に結んだもの

そこにAの気持ちなど一つも含まれていなかった



「……」



気になるのは三國から一切の連絡が無いと言う事。最初は
それが快適であったけれど、日を追う事にそれはAに
得体のしれない恐怖を与えるようになってしまった

このホテルも滞在三日目。万が一、自分を探しているとしたら
同じ所に留まり続けるのはリスクがある





「お世話になりました」

「お気をつけてお帰りください」





宿泊費を払い終え、外に出た……その時








「もうかくれんぼは終わりやで。A」







「！！さ、貞治さん……」



黒塗りの車から三國が出てきた。外であるというのに思い切りAを
抱き締めると嬉々とした声色でたった一言、おかえりと囁く



「やっぱりええなぁ。こうしてるとホンマに安心するわ」

「……」

「早く家に帰ろうか。色々話したい事あるし……な？」

「……」

「A。返事くらいせなあかんで」

「……はい」





結局、こうなる事は最初から決まっていた事だったのだ






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