バグ大 イケおじ短編集

天羽組　阿久津　※　リク ページ16

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「工藤の兄貴ってカッコいいですよね」

「そうだな」



確かに誰しもが認める漢、ドスの工藤。けれど今、何故
それを口にするのか



「実は今日、褒めて貰えたんですよ。ドスの扱いが
　上手くなったって！本当に胸キュンしました！」

「……」



まるで好きな人に褒めて貰えたかのような反応に阿久津は
少し複雑な表情を浮かべる



「……俺だって」

「はい？」

「褒めてるだろうが」



そう。結構な頻度で阿久津はAを褒めている

予定より早く書類を仕上げれば仕事が早くて助かると、また
敵から重要な情報を聞き出してくれば良くやったと……



「そうですね」



しかしそれらは全てサラリと今のように流されるか
そもそも気にも止めないかのどちらかだった

こうも反応が違うと面白くない。例えそれに深い意味が
ないとしても



「A」



阿久津の大きな手のひらがポンッと頭に乗せられる



「お疲れさん」

「……え」

「少しはその……胸キュンってやつは感じたか？」



工藤に褒められたと話している時は無邪気にはしゃいで
いたのに今は……



「あ、阿久津のカシラ……」



りんご並みに顔を赤くしてこちらを見つめていた



「あ……嫌だったか？すまん」

「ち、違っ……その、もっとしてもらっていい……ですか？」




こんなお願いをされて断れる訳がない。いや、そもそも
断るつもりなんてない



「……ふふ」



嬉しいとも何とも言わない。けれど気持ちよさそうに目を
細める姿はとても可愛らしい

今までと違う反応に阿久津の中で良からぬ何かが生まれつつあった



「胸キュンなんかじゃ足りない位、ドキドキしてます……えへへ」



そしてヘニャッと笑ったのが決定打になった



「A」

「んむっ」



その柔らかそうな唇に堪らず齧り付いたと気がついたのは
息苦しさに小さな手が胸を叩いた時だ



「すまん！」

「は、はいっ」



こんなのただのハラスメントではないか。土下座でも何でも
して謝らなければ……そう思った時、Aから意外な事を
お願いされた



「も、もっと」

「何言ってるんだ」

「阿久津のカシラからのご褒美、欲しいです」



ただ嫉妬していただけなのにどうしてこうなったのか

よく分からないけれどたった２人しかいないこの部屋に
ソファーが軋む音がほんの僅かに響くのだった






「だって他の人にも同じ褒め方してるんですもん……」

「そうか？」



単純に同じ褒め方が嫌だった、それだけの話でした




*

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