ヒューマンバグ大学 中編集

不退転　天王寺組　大嶽　※ ページ25

*妹分夢主








大嶽A、早く帰ってきてくれんか。寂しくて仕方ないんや






「……っ」



きっとすべてお見通しなのだろう。だからわざわざ帰りの
飛行機を降りたそのタイミングでメッセージを送ったのだ



大嶽分かっとると思うけど今日は俺の家に真っ直ぐ来るんやで。
待っとるからな



駄目だ。メッセージを打とうとする指先が震える。こうなる事は
分かっていた筈なのに……



「……分かって、ます」





早く帰らないといけない。だけど足はそれに逆らうように
真逆の方向へと進んでいくのだった






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿






時刻は深夜１時。どうしても大嶽の自宅に行きたくないAは
未だに彷徨っていた

あのメッセージが届いてから何時間も経っている。しかし
それ以降、様子を伺うような連絡は一つも来ていない



「………」



逆にそれが怖い気もするけれど今更帰った所で……



＿＿♫



「あ……」



着信の相手は大嶽だ。Aは渋々、電話に出る



「……はい」

「早く帰ってこい言ったやろ」

「………」

「A」



＿＿駄目だ。逃げられない




「今どこにおるん？」

「……」

「おい。聞いとんのか」



大嶽がまだ話している途中にも関わらず電話を切った。
逃げられない、そう分かっていてもAは足掻き続ける



「……」



だけど……もし今日、呼び出しを無視したとしても明日は
本部に行くのだから結局一緒なのかもしれない

自分で自分の首を締める真似をしたのだと今更後悔した









その頃。大嶽は明かりすら付けず、ソファーに座ったまま
Aの帰りを待っていた



「悪い子やわ……ホンマに悪い子やでA。俺の言う事
　聞かんとか誰に影響されたんか？」



と、言いつつもその相手が誰なのか分かっている



「城戸……Aが庇わんかったらキツい仕置きされとったで」



怯えた表情をしながら帰ってくるであろうAを想像すると
思わず口角が上がる






「せやからA……はよ帰って来い」





まだ帰らぬAの存在が恋しくて。抜け殻となったシャツを
代わりに抱きしめるしかなかった





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