ヒューマンバグ大学 中編集

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「……え」



買い出しから戻り、ポストの中を覗いた時。血の気が引くのを感じた

今朝捨てた筈のそれと全く同じ物。それに気がついた瞬間
買い物袋が肩からずり落ちて、中身が散乱してしまった



「……っ！！」

「……」



慌てて拾おうと屈んだAは扉の向こうに自身を見つめている
男が立っている事に気がつく

そしてその男はニヤリと笑みを浮かべると何処かへと消えた




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「何これ……っ！？」



いつもは自分一人が映っている写真ばかりだったのに今回は違う

和中と出掛けている時の様子やスーパーで買い物をしている時の……
ありとあらゆる場面を収めた写真が多数同封されていた



『俺がいながら他の男と結婚するなんて……裏切者。
　お前にもお前の旦那にも思い知らせてやる』



そして今まではなかった一通の手紙。その内容は自分だけでは
なく、夫にまで憎悪を向けている

ここまでくればどうする事も出来ない。これ以上黙っていても
むしろ迷惑をかけてしまう、やっとAは全て話そうと覚悟した





「蒼一郎さん……すみません。お仕事中に」



電話の向こうから聞こえる震えた声に和中は何かを悟る



「気にするな。A、何があった？」

「実は………」




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「……そうか」



その日は何とか早めに仕事を切り上げ、舎弟からの誘いも
全て断り自宅に真っ直ぐ帰った

全てを聞き終えた和中はただ短くそう返事をする。そして
青ざめた顔をしながら震えるAをそっと抱き締めると
そのまま寝室へと向かう



「……ずっと一人で耐えてたんだな。気づいてやれなくて悪かった」

「蒼一郎さん……」

「大丈夫だ。すぐに何とかしてやる」




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