、 ページ47
「Aの瞳は、グルッペンと同じ紅色だよね。」
しんぺい神は、目の検診をしながら、何気なく言った。
その言葉に、Aは、私の瞳のほうが濁ってますよ。と笑って返す。
この、三日間で、二人の仲は親密になっていた。
Aの熱はだいぶ引いていたが、夢のためか体調が優れないため、医務室のベッドで生活している。
机上にはやはり、大量の書類が置いてあった。
突如、医務室の扉が、ノックもなく開かれた。
「β国の総統様捕まったってよ。」
扉の前に立っていたのは、牢に入っていた男だった。
服は、β国の軍服から、一般市民の着る服装に変わっている。
知らない人間に、しんぺい神は首を傾げ、捕まっているはずの人間に、Aは目を見開いた。
そのまま、男はずかずかとAに寄った。
『何で、外に出てるの。』
「ああ、なんか、有益な情報を全部言ったから、グルッペン様から出してもらった。一般市民として暮らせってさ。」
掴みどころのない笑みを浮かべながら、男は書類の山を見る。
「ルピナスやったんだってな。」
その後始末か？と言いながら、男は書類を覗き込んだ。
そこには、ルピナスのことだけではなく、男が吐いた情報まで載っている。
「こう見ると、結構俺、功労者じゃね？」
『じゃあ、私も功労者になりますよ。』
それは違うな、と笑って男はAにナイフを投げた。
ルピナスの首に当てていた、ナイフだった。
「総統様からお前にな。」
その言葉に、Aの表情が一気に暗くなった。
嫌な汗が、首筋を濡らしていく。
「まあ、どうせ死ぬんだし、持っておけばいいんじゃないか？」
『いらないんだけど。』
男に無理やり握らせようと、Aは男の腕を掴んだが、いくら剥がそうとしても、握られた拳は開かない。
「呪いなんじゃないの。」
じゃあな、と明るい声で、男は医務室から去っていった。
『嫌な呪い。』
Aはそう、呟いたものの、ナイフをゴミ箱に捨てず、ポケットにねじ込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です！わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (
レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです！こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか？ (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか？ (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです！続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蠱毒 | 作者ホームページ：@kodomikodoku
作成日時：2022年8月7日 18時
