・紅茶で悪意を解毒して。 ページ15
外交官のなかでも、一番位の高い人間であれば、スケジュールは常にぎっしり入っている。
新米の、しかも先日まで敵軍にいたAとの面会は、当然後回しにされた。
Aがオスマンとたったの十五分の面会ができたのは、クッキー事件から二週間後だった。
「A、そろそろ訓練所行くか？」
『明日からなら、行きたいです。今日は、オスマン様との面会があるので。』
コネシマの誘いを断って、Aは喫煙所から出る。
基本的には、コネシマの言ったことに、Aは従うようにしている。
他幹部からの命令が入っているときは、断るし、それはコネシマも許す。
コネシマは、なにか言いたげな顔をして、Aの後ろ姿を眺めていた。
手に持っていた、タバコの火をもみ消して、箱をしまう。
「訓練所、見に行くか。」
外交官の仕事場は、広い。
他国の外交官をしっかりと、もてなすという表向きの用途があるからだ。
『Aでございます。』
扉の前に立っていた男に、声をかけると、少し嫌そうな顔をして、扉を開けた。
「面会なんかしても、俺は君のこと、優遇する気はないで。」
細い目を少し開いて、オスマンは言った。
そして、Aが持っている、一本の花に、ふうん、とつぶやいた。
『夾竹桃。花、葉、茎。全て、経口摂取により毒になります。
クッキーに入れるなら、最後の数分で、焼くと思ったので、おかしいと思いました。』
Aの言葉を、黙ってオスマンは聞いていた。
そこ座ってええよ。、と表情を変えずに、言う。
お言葉に甘えて、とAは座り、オスマンの目の前に、夾竹桃を差し出した。
『ひとらんらん様から、頂いたものです。』
「まあ、アソコの庭の管轄は、ひとらんやからな。」
薄っすらと見える、オスマンの瞳が少し揺れ動く。
夾竹桃を受け取ってもらえず、Aは机上に置いた。
『オスマン様は、何がしたいのですか？』
「......そんなことわかってるやろ？」
Aの瞳を見ながら、オスマンは言った。
「君のことを気に食わない。それだけ。見破られるのは少し想定外やったけど、」
そう言って、オスマンはゆっくりと立ち上がった。
「紅茶でも飲みながら、ゆっくり話そうか。次の予定は、キャンセルしてもええもんやし。」
その言葉に、Aは驚き、目を開いた。
その姿を見て、オスマンは笑う。
「紅茶に毒は入れんから、安心してな。」
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2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です！わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (
レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです！こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか？ (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか？ (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです！続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠱毒 | 作者ホームページ：@kodomikodoku
作成日時：2022年8月7日 18時
