33 ページ33
「いい景色だね。Aちゃん。」
『......煤が顔について何も見えません。』
真っ黒になった顔をぼんやりと見えるひとらんに向けながらAは口を尖らせる
外の景色を見ようと窓を開けた瞬間Aの顔に、舞う煤が付いた
Aの向かい側に座っていたため鬱とひとらんは無事だったがAの顔が犠牲になった。
はぁ、と溜め息を盛大について、Aはハンカチでゴシゴシと顔を拭く
煤が取れて視界が開けるようになったときには、もうトンネルに入っていた。
『結局、景色見れなかった......』
「しゃーないって。また出たら見れるから。」
もうAちゃんの真っ黒な顔は見られへんけどな、と鬱は笑う
Aは鬱の笑顔に容赦なく拳を飛ばした
ガツッ、と派手な音がして鬱の頭は揺れた。
『余計なことを言うからこうなるんですよ。』
「目まぐるしく顔色が変わってるよ。」
と、ほんのりと赤みが差しているAの顔を見てひとらんは言う。
嫌だなぁ、と思いながら本日二度目のパンチを喰らわせた。
乗客は皆、暴力沙汰だと喚いているが、Aは気にしない。
何故なら乗客を殴る気はないからだ。
「すまんすまん。」
「Aちゃん、ごめん。」
二人の謝る声がAの耳に入ったので許すことにした。
『鬱さん、そういえば聞きたいことがあったんですけど。』
「ん？どうしたん？」
先程殴られたというのにお気楽そうな声で鬱は返した
『私、この前グルッペンさんが何か言おうとしたときに出ていきましたよね。申し訳ないのですが、なんとおっしゃっていたか覚えていますか？』
「んーとな。」
そう言って、少し考えてから鬱は言った。
「Aちゃんの出処に関して、情報があるとか、何とか。言ってたで。」
『そうですか。』
それだけ返してAは目を閉じた。
幼き頃の消えた想い出を一つ、一つ、手繰り寄せていくように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みずき - あの…12の「zmさん。離してください。」のところの離してが話してになっていますよ(語彙力皆無)応援してます！頑張ってください！ (2022年10月8日 10時) (
レス) @page12 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
藤冬(プロフ) - チャコ○さん» 文才があるなんて、いえいえまだまだ未熟者です。これからも頑張らせていただきます！応援ありがとうございます。 (2022年1月19日 20時) (レス) id: 2d51c5e453 (このIDを非表示/違反報告)
チャコ○ - 凄く素敵な作品に出会いました…最近多いな…文才ある方…年下だってぇぇえ⁈しかもかなりっ…かなちぃ…J K悲しいめぅ…これからも無理なく更新頑張ってください…楽しみにしてます (2022年1月19日 20時) (レス) @page14 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
藤冬(プロフ) - あっぷるさん» 褒め言葉ありがとうございます。作者は現在12歳です。占ツクをやることに親に許可はもらってますのでご安心を。 (2022年1月19日 18時) (レス) id: 2d51c5e453 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる - もう、なんか、文才が､､､凄い､､､(語彙力)あの、藤冬さん今何歳ですか？あ、公開したくなければ全然構いませんけど､､､こんな凄い文を書く人がどのくらいなのか気になりました(*´-`) (2022年1月19日 18時) (レス) @page4 id: c1f3a10c7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤冬 | 作者ホームページ：@kodomikodoku
作成日時：2022年1月18日 19時
