赤* ページ24
「グルッペン 様、お菓子が焼きあがりました」
みんな、前世って信じるかな。アハ、でもね、これは普通ではない。前世のお話。私が生まれた国は戦争を当たり前とする時代だった。
gr「分かった。一緒に食べようでは無いか」
私達の関係はそれ以上でも、それ以下でも無い。ただの幼馴染であり、従者と主という関係。私は、この関係が気に入っていた。そして、
gr「なぁ、幹部にならないか?」
私が密かに彼に好意を寄せている事も。こうして幹部になれと、誘われる事も。幹部にまれば彼と接触出来る日が増えるだろう。だが、幹部になると共に女子からは嫉妬の眼差し。虐められる事は目に見えて居た。要するに怖かったのだ。ただの、臆病者だった。
だが、こうやって二人で笑いながら隠れてお菓子を食べる事も。幹部に誘われる事も、全て幸せだった。だが、幸せという物は長くは続かない。いつか崩れてしまう。そういうものだろう?
無敗の我々国が戦争に負けた。いや、正確に言えば負け欠けたと言った方が良いだろうか。だが、彼にとっては負けたも同然。ある戦争で幹部がほぼ全員死んでしまった。身を犠牲にしてでも我が国を勝利に導いてくれたのだ。その原因は少しの判断ミスだった。それだけで重なっていく死 体の山に幹部が乗る事になってしまった。
その日からは彼もほぼ放心状態だった。残った幹部は遠征で戦争に参加していなかった兄さんと凄腕医師ことしんぺい神のみ。総統である彼も何回か自 殺しようとしてしまった。だがそれをなんとか止め、やっとこの静かな空間にも慣れて来た頃、事件は起きた。
何処からかする焦げ臭い匂い。瞬時に火事だと判断した私は幹部の二人に連絡をし、メイドや使用人の避難誘導を任せた。そして急いで向かった先は、総統室。
開けた瞬間可笑しかった。他の部屋より火が回るのが早かった。床に散らばっているガソリン。鬱様愛用のライター。
床に横たわるグルッペン
この全ての物達が、グルッペンが何をしたのかを物語って居た。急いでグルッペン の方へ駆け寄ると、まだ温かい。出血量が酷く、しんぺい神でも手に負えない程。彼を死なせないという一心で背負おうとするが、隠れている体格は私に背負える程軽くは無かった。すると、
gr「……A、総統からの最期の言葉だ。聞いてくれ」
嫌だ、最期なんて言わないで。まだ貴方は若いんだから未来があるでしょう?そう言おうと開いた口からは声が出なかった。
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作者名：隣の田中さんは最強 | 作成日時：2019年10月11日 20時
