【イナイレ】おお、神さまは天の上:序 (ページ19)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:33,714 hit

18 ページ19

『……ははは、東ァ……君さ、心底……』

「大神……？」

『……違うな、うん。

僕にも分からない……昔は夢があったけれど、今は何をしたらいいか分からなくてさ。

今、僕の原動力となっているのは父さんに反抗するという事だけだから。』

賑やかな休み時間、周りの声にかき消される程細い声で不安げにそう言った。

「何がしたいか、分からないのか。そっかぁ……俺と同じだな。」

『……ふッはは、確かに部活を転々としている君に何をやりたいとか聞かれても全く心に響かん。』

「お前、俺にだけ辛辣なのなんでなの…？」

大神の表情がふわりと緩んだ、先程と打って変わって重苦しい空気はない。

『やりたいこと……強いて言うなら、円堂と最近サッカーをしたのが楽しかったんだ。』

「え、じゃあサッカー部？」

『さぁてね、それはまだ分かりません。父さんに反抗すると言っても、抵抗出来る程の権力と準備が必要だから。』

今はノープラン！と、大神はお手上げだという風に降参のポーズ。

「権力って……何する気だよ。」

『だから、ノープランだと言っているんだよ。使用人全員を味方にする……とか？これはどちらかと言えば権威か。』

「何もわからん。」

大神は、終わったー！と今の時間で終えた課題を掲げた。自分の席で頭を抱えながら課題をやっていた円堂が、大神の声に反応して駆け寄ってくる。

「あ、大神！！それ終わったのか？これ、やり方がよくわからなくってさ〜！」

『……酢烏賊(すいか)。』

「ぐッ……奢る！」

「金持ちが庶民に奢らせる、何たる光景……」

『金持ちでも金は大事なものだよ。』

円堂の奢るという言葉が合図のように、円堂が持つプリントを攫って指を指しながら説明していた。円堂はうんとかへーとか曖昧な返事で、理解しているのかは分からない。

「つまり、こうか！」

『違うんだが。』

案の定、円堂は理解していないようだった。

「……なぁ、俺も教えてくれない？」

『君はプリント終わってるだろうに。』

「解き方の復習〜」

なんか寂しいから俺も入れてって。