【イナイレ】おお、神さまは天の上:序 (ページ18)

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『東〜！』

「ん、どうした大神。」

『あずまと言えば東(ひがし)、東といえば東京(とうきょう)。』

「お前、最後が言いたかっただけだろ。」

隣からぴーしくぱーちく小鳥のように、俺の名前を呼ぶ大神A。こいつは3年前、事故にあったと使用人さんの報告があった以降、行方が全く分からなくなっていた奴だ。

『東、何部に入ってるんだい？』

「俺？俺は色んな部活回ってるかな、女子にモテたいからさ。」

『君らしいな、下心しかない所とか心底気持ちが悪い。』

顔は風丸のような美人寄りで、おっとりとした雰囲気がある。その見た目からは想像出来ない程、知人(特に俺)には口が悪い所が特徴だ。

「お前こそ、これから何部に入るんだ？」

『んぇ〜運動部入ると父さんうるさいからなぁ……とはいえ逆境を選ぶもこれまた一興。』

親からの束縛が激しいらしく、小さい頃の夢はスポーツ選手だった気がするが、おじさんに猛反対されて目指す気はなくなったらしい……筈った。

この様子を見ると、昔よりもおじさんに反抗的なようだ。今なら突然、矢張りスポーツ選手を目指すと言い出しても不思議ではない。

「珍しいな、お前自身から反抗しようなんて考えるの。」

『僕も思ったんだよね……昔なら歯向かおうなんて考えなかったよ。円堂たちが引っ張ってくれなければ、家を抜け出す勇気すら出なかったあの僕がねぇ……今は歯向かってやろうという気持ちの方が強い、不思議だ。』

「……お前、覚えていない3年間で何があったんだろうな。」

『ははは、僕が聞きたいんだがね。』

大神は、険しい顔でどこか遠くを見つめる。普段はおちゃらけてふざけているように見える大神だが、その内に抱えているものは誰も想像出来ない程に大きなものなのだろう。

「お前は、何がしたいんだ？」

『何がしたいんだ、と言われてもねぇ…』

「円堂はサッカー部、風丸は陸上部。

じゃあ、お前は何になる？」

ばきり、と大神が使うシャーペンの芯が折れた。恐る恐る目を向けると、顔を伏せた大神は肩を震わせていた。