人間AIの姫とヤクザの王子【碧棺左馬刻】 (ページ8)

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Entering the AI society 6 ページ8

無花果side

全く…生駒は何をしているのか

慎重に手術をしろと言ったはずだ

なのに現に一人、失敗した

乙統女様にどうやって報告するべきか…

そうこう考えているうちに乙統女様の執務室へ着いてしまった

あれこれ隠そうとしても無駄だ
ここは包み隠さず話すしか無いだろう

「乙統女様、失礼致します」

「無花果さん、どうなさいましたか？」

「実は乙統女様に折入って話がございます」

「何でしょうか、無花果さんからとは珍しいですね」

「はい、話というのは脳内書き換え手術のことについてなのですが……。今のところ失敗例がないとされていましたが、私の監視の目が甘かったことで一人失敗例が出てしまいました。申し訳ありません。」

乙女統様は窓の方を向き、誰かがそこにいるように視線を鋭くした
窓に映ったその瞳にはどこか声色からは伺えない感情が渦巻いているようだった

「そうですか、ついに……。このような自体は想定の範囲内です。速やかにその方を連れ戻してください。その後の判断は任せます」

「承知しました」

部屋を出れば生駒が向こう側から歩いてくるのが見えた
相変わらず呑気に缶コーヒーを片手にスマホをいじっている

「おい、生駒」

「あ、無花果さん！お疲れ様です」

「誰がお疲れ様だ、お前の失態のせいでこちらは余計な任務を課せられた。このことが世に明るみに出れば中王区の権威は落ちる。どう責任を取るというのだ？」

「それは、なんとかなると思いますよ。まだそう遠くへは行っていないと思いますし、今から追えば間に合うんじゃないですか？」

はぁ…これだからこいつに手術は任せられないと言ったのに

「今外へ出たところでわかるわけ無いだろう、とりあえずこのことに関しては私がすべて何とかする。だからお前は手術の失敗を深く反省し次の任務にあたれ」

「了解です」