人間AIの姫とヤクザの王子【碧棺左馬刻】 (ページ14)

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The manifestation of a savior 1 ページ14

左馬刻side

ここらへんで暴れている奴らがいるらしいという噂を耳に挟んだ

俺様のシマで好き勝手するやつは誰であろうとぶっ殺す

俺は事務所を飛び出した

目的の場所に付けば暴れているという奴らは俺の組のモンだった

勝手に行動しやがって…

とっとと帰れと言おうとすると近くに女がいるのが見えた

ソイツは壁に押さえつけられ怯えた目で組のモンを見る

何だ…この親近感

どこか合歓に雰囲気が似ている

俺はとっさに組のモンの腕を掴んだ

「俺様のシマで、ましてや俺様の組のやつが何勝手なことしてやがんだ」

「あ、兄貴…これはその…」

「ち、違うんですよ兄貴。これは誤解で…」

「あ？誤解だぁ？んなことねぇだろ。女に手を出してる以上勝手な行動だ」

腕からギシギシと音がなるのも気に留めず掴んで離さない

俺は女にだけは手を挙げないと決めている

たとえどんな事があっても

俺が睨みつけると組のモンは怯えて後ずさりをする

男たちを蹴飛ばして女に近寄れば、陶器のような白い肌、ふっくらとした胸、艶々とした唇が目に入る

今まで抱いたどの女よりも綺麗だと思ってしまう

もちろん過去の女は単なる遊びなだけで心から好きになったわけじゃねぇ

ただコイツにはなにかビビッとくるものがある

「おい、コイツになにかされたか？」

怯えさせないように暖かい声色で話せば女は急に泣き出した

『ご、ごめんなさい…ごめんなさい…。私が悪いんです、こんな時間に外で歩いているのが…本当に…私が悪いんです…』

自分を卑下して頭を下げる

どこかシンジュクにいるアラサーみてぇだな

いや、アイツと比べたらこの女に失礼か

「じゃあ、なんで出歩いてんだよ」

『そ、それは…』

女はぽつりぽつり俺に話してくれた

例の手術を受けたこと

家族から家を追い出されて泊まる場所を探してネットカフェに行こうとしていたこと

この女は一般人以上に肝が座ってんな

俺様を前に逃げ出さずに、ましてや自分の話をするなんて

まあ俺様が聞いたけどな

「そうか…、住む場所がねぇんだな。だったら俺の家に来い」

『え…？』

「あ、兄貴…いいんですか？」

「なんでお前らが聞く必要があんだよ、黙ってろ。これは俺様が決めたことだ」

『で、でも。それはいくら何でも悪いですよ…。迷惑ですしお断りしま…』

「んなもんどうでもいいわ。俺様の命令だ、家に来い」

そう言ってそいつの腕をとって歩き出した