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払われる対価 ページ31

剣で、それの頭を斬り裂く。
もはや慣れた作業のようなものだ、抵抗感や背徳感などもちろん感じはしない。
一匹一匹、丁寧に、そして残酷に斬っていく。
本来なら全員倒す必要はなくとも、こいつらを許す事は出来ない。許そうともしない。
ようやく全員斬り終われば、それは霧となって宙を舞いながら消えていく。

 _もういなくなったというのに、瞳はそれが居た場所を睨みつけるのをやめる事はなく、手は武器を放そうとしない。
まだまだ斬り足りない。あいつを持っていった償いを払わせなければ。
もちろんそんな事をしてもあいつは帰ってこないとわかってはいる。
それでも、そうしないと自分を保てないような気がしたのだ。

「アマゾナイト、武器はもうしまっていいのよ。」

 例えるなら、花だろう。
花のような声が後ろから聞こえ、そちらを振り向く。

「ダイヤモンド。」

微笑みながら俺の目の前に立つ虹色の宝石の名はダイヤモンド。
かつてあいつ、クリソコラが組んでいた相手だ。
昔、あいつが見ていたものを共に見る中で見た事はあった。
本当に眩しく美しい宝石だ。

「ほら、帰りましょ。もう日が暮れて来てる。」

 確かにダイヤが言った通り、空は橙色に染まっている。
足元から伸びる影は既に伸び切っていて、日は半分顔を海へ沈めていた。
夕暮れ時はどこか懐かしい気持ちになり、どこか切ない気持ちにもなる。
そして、橙色になったあいつの髪を思い出すのだ。

「…そうだな。」

差し出されたダイヤの手を取り、学校へと二人で歩き始めた。


__


「よう新入り! 初仕事おっつかれさま〜!」

帰って早々、話しかけてくるのは薄荷色の宝石フォスフォフィライト。
あいつが一番面倒くさそうに扱っていたが、反面、一番好んでいた相手だ。

「…ありがとな、青緑。」

 あいつがよく使っていたあだ名で呼ぶと、青緑は目を丸くし驚いたような様子を見せる。
いらついているようにも見えたのは気のせいだろうか。
いいや、きっと気のせいではないだろう。

「その呼び方…どこで。」

 青緑の視線がダイヤへ移る。
しかしダイヤは首を横に振り否定をし、俺も同じく否定する。

「クリソコラからな。教わったわけじゃあないが。」
「どうして、クリソコラの事も。」

これは一々説明していれば長くなるだろう。
そう察した俺は、用事があるからという口実を作り、その場から速足で去る。
また今度、説明すればいいことだ。
今日はもう疲れてしまった。

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作者名: | 作成日時:2018年6月3日 20時

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