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新たな月人 ページ21

「そんなに言ってくれるなら、僕と組んでくれる?」

 目を丸くして、空からダイヤへ視線を移す。
ダイヤは悲しげに、そして儚げに微笑んでいた。

 _しまった、そう言われるのは予想していなかったぞ。
ただ。冗談で言っているのかもしれないけれど、ダイヤと組むのは悪くないかもしれない。

「…それ、冗談か? 真面目に言ってるのか?」

 念のため確認を取ってみる。
ダイヤが口を開き、言葉を紡ごうとしたその時。


 霧が辺りを染める。

「き、り?」

 ダイヤが不安そうな声を出す。
これは、嫌な予感がする。気のせいかもしれないが風が纏う雰囲気も不穏なものに変わっていた。
 急いで辺りを確認すると、少し遠くに霧で出来たアーチのようなものができている事に気付く。
その真ん中には、白く、巨大な、

「月人」

 そう、月人のようなものが見える。
しかもあれは、だんだんこっちに近付いてきて___



 バキ

 と、月人の手が床にヒビを入れる。
今までに見た事がないような姿形をした月人だ。
 その手は六本、一本は手首が切られているため正しくは五本だろうか。
顔で蠢く目は六つあり、そして何よりでかい。


「ダイヤ、大丈夫か!?」

 すぐ横に居るダイヤに向け、問いかける。

「ええ、大丈夫!」

 返事が返ってくれば、とにかく離れようと急いで二人で三階へと駆け上がった。
宝石の姿は残念にも見あたらなかったが。
こうなれば俺達二人で何とかするしかない、幸運にも二人共自分の武器は途中で拾ってきている。

「ダイヤ、やるぞ。」
「わかったわ。クリソコラ、無理はしないようにね。」

 もちろん、そう返事をして武器を構える。
まず真っ先に月人が狙ったのはダイヤの方だった、振りかざされる手をダイヤはすぐに武器で防ぐ。
もちろん俺もダイヤに夢中な月人の手へ、攻撃を加えた。

 ダイヤから手は離れるが、狙いが外れる様子は無い。
六つの目はダイヤに釘付けだ。

「もてるねぇ、綺麗なダイヤ族は。」
「クリソコラ!」

 怒ったような様子で名前を呼ばれればすまんとだけ返して改めて目の前の事に集中する。
 その直後、月人がダイヤへと拳をぶつけた。
俺はそれを食い止めることも飛ばされたダイヤを受け止める事も出来ず、ダイヤは地面へ叩きつけられる。

「ダイヤっ…! くそ…。」

 初めて見る月人に、緊張しているのか思ったように四肢が動かない。
自分の不甲斐なさと心の弱さに、死んでしまいたくなる。

変わる事が→←いつも通りの日



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作者名: | 作成日時:2018年6月3日 20時

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