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「たっだいまぁ〜!さささ、どうぞ中へ〜」
『ぅ、お邪魔します......』
嗚呼、神様。
どうして私は今、ここにいるのでしょうか。
きれいめなマンションの一室に足を踏み入れながら、私はそんな下らないことを考えた。
都合のいいことに、明日は久々に丸一日オフ。
だけど急なお誘いだったわけで、時間も時間だし、正直ためらった。
しかし、だ。
「ぅし!ほいじゃ、すぐに作るからちょっちお待ちを!」
気合いの入ったエプロンを見にまとい、うでまくりをした一二三はキッチンへと姿を消した。
「あいつはあんな感じだが、料理の腕は確かなんだ」
腐っても彼はNo.1であり、私は2番手。
やはり先輩のお誘いを無下にできるはずがない。
だから、決して一二三の手料理が気になっているとかそんなのではない。
そんなのでは......
『独歩さん、絶賛なんですね......楽しみです』
楽しみです。
・
「はいっ、お待ちどお〜!」
そう言って一二三が置いた皿がコトリと音を立てた。
その上には、綺麗に盛り付けが施されたスパゲティ。
「おぉ、旨そうだな」
『わわ、いい匂い......!見た目がもう美味しさを物語ってる......』
キラキラと効果音がつきそうなほど、目を輝かせる彼。
そんな彼を見て、へにょっと一二三が眉を下げる。
あいつ、照れてるな。まあここでは言わないでおいてやるか。
「へへ......そうだろ〜?さっ、早く味も確かめてくれよな!」
こくりと頷いた彼は自分の椅子を引く前に、
隣である俺の席の椅子を引く。
なるほど、これが接客業の鏡......
「なはは、こいちゃん?そんなのしなくっても、独歩は別にお客様じゃないぞ〜」
『あっ、つい癖で......』
すみません、と苦笑した彼が軽く会釈をする。別に謝る必要はないが。
癖になるほどか......相当接客歴が長いのだろうか?
まだだいぶ若く見える気もするが......
『いただきます』
こいさんが手を合わせる。
「ほらほら、独歩ちんも食えよー」
「あ、あぁ。いただきます」
スパゲティをクルクルとフォークに巻き付ける彼にちらりと目線をやる。
実歴も、イケメンさも兼ね備えているはずの彼を目の当たりにしながらも
不思議なことに、"女みたいだ"なんて失礼な言葉が頭によぎる。
俺はそっと口をつぐみ、その台詞と共にスパゲティを押し込んだ。
・
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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
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