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最後に恋をしたのはいつだったかな。
私は青春というものを味わえるような人生は送ってこなかったし
特に誰かと付き合いたいだとか、もしかしたらそういった感情さえも
まともに持ったことはなかったのかもしれない。
ドライヤーの音を聞きながら、ぼんやりと過去の自分を思い返す。
それなのに
「よっし!後はこの洗い流さないトリートメントをつけて、っとぉ」
よりによって今私は、このシンジュクで一番モテているであろう男に......?
あまりにも自身が身の程知らずだったことに落ち込みながらも、
この緊張と胸の締め付けは彼に対するものだと実感する。
「でーきたっ!さすが俺っち、女の子の髪なんてまともに手入れしたのは10年ぶりくらいだけど......超いい感じじゃね?スマホスマホっと」
嬉しそうに携帯を取りに行く彼の背中を見ながら、小さくため息をついた。
一二三は、女の子が怖い。
そんな彼だけど、今こうして私のことを受け入れてくれていることは確か。
それは一二三が
長い間私を女だと思っていなかったから?
それとも_______
「Aちゃんっ」
『え?』
突然名前を呼ばれ、声のする方へ振り返ると
パシャリ、と歯切れのいい音が鳴った。
一二三の手には、しっかりと握られたスマートフォン。
「わっ、やべーAちゃん!シャンプーのCMみたいな写真撮れたんだけど」
同じソファー、隣の空いたスペースに
ぽすりと一二三は腰をおろした。
先ほど抱きしめられた時に感じた彼の匂いがふわっと漂う。
どき、と鼓動が高鳴った。
嬉しそうに眉を下げ、画面を見つめる一二三。
なんで私の写真に対してそんな顔ができるんだろう。
やだな、どうしても自惚れてしまいそうになる。
『......ひふみってば、そんなに見つめて。さては私の顔が好きだったりしてね』
そんな自分の感情をうやむやにしようと、冗談を口にした。
「あえ!?ぅ、なはは......」
はずだったんだけど。
『な、何その反応......』
「ちが!いやっ、違くはねぇ、けど......」
ボボボ、と顔を真っ赤にして目を泳がせる一二三。
派手に動揺する彼を見て、こちらまで恥ずかしくなってくる。
途端、パッと一二三が私の方を見た。
キラキラとした揺らめく黄金の瞳から目が離せなくなる。
「つーか顔じゃなくて、全部好きだし!!Aちゃんの顔も声も性格も、全部すき!!」
嗚呼、変なこと言うんじゃなかった。
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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
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