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カチカチとドライヤーについたスイッチをいじりながら、一二三が口を開く。



「んで、ここで風量調節、冷風はこっち。おっけ〜?」


『ん、おーけー』


にへ、と笑う一二三。エプロン姿は女の私も顔負けの女子力と生活力だ。

お母さんを見ているみたいだからだろうか、
また甘えたい衝動に駆られる。


「ほいじゃ、俺っちは飯の支度を......」


『あっ、まって』


離れようとした彼の服をクッと引っ張る。

クルリと振り向き、驚いたように目を見開く彼。


「もー、Aちゃん?急にそういうことされると、びっくりすっし......」


眉を下げて、照れたように彼が笑う。

下手な私の感情表現でも、一二三は怒らずに聞いてくれる。
だから彼には甘えたくなるのかもしれない。


『ごめん......あの、髪渇かしてくれませんか』


なぜか敬語になった台詞を口に出して、数秒。

ボ、と顔が熱くなる。


待って、私すっごく幼稚なお願い事しちゃってるよね?
嗚呼、バカなこと言っちゃった。


どうしよう、引かれたかな


「......Aちゃん、さ」


びく、と肩が跳ねる。

さすがに怒られる......?それとも、呆れられる?


不安が押し寄せ、俯いてギュッと拳を握りしめる。



「そういう顔、簡単に男に見せんの良くねーと思う......」


『っ、え』


ふわ、と暖かい腕に包まれる。

トットッと早く刻まれる彼の鼓動が、すぐ耳元で聴こえた。


想定外に高鳴っている彼の心音に驚き、息が詰まる。




思考が追いつかないまま、ゆっくり離れた一二三の
宝石のように綺麗な瞳は、じっと私を見つめた。




切なそうに揺れるその眼差しに、胸が苦しくなる。





おかしい、なんで






「ね、わかった?」




『......っ』






どうしよう、私







もしかして







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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽぴら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年2月18日 2時

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