シンジュクNo.2ホスト系女子。【伊弉冉一二三】

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新宿駅の改札を出て、数歩。


陽はすっかり沈んでいるものの、外は凄い人混みだ。



『一二三は、これから駅前のレストランに行くんだっけ？それじゃ、また仕事でね』


私は今日の夕飯、何にしよっかな。
そんなことを考えながら、軽く手を振って別れを告げる。

が。

彼は別れを告げず、代わりに「待って」と口を開いた。


『どうかした？』


予想しない返答に、首を傾げる。


「よかったら、Aちゃんも一緒に食事していかないかい？」

『へ？わ、私も？そんなの悪いよ』


若干焦りながら返事をする。

私みたいなただの一般素人が、D.R.B優勝者達の食事に参加？
シンジュク代表達のなかに入る部外者、なんて記事を書かれそうだ。


そんな私の心配もよそに、更に彼は口を開く。


「先生が、久々に顔を見たいって言っていたんだ。それに、今日のお礼もしたいしね」


神宮寺先生が......？


『だけど私、今は男の格好だし、、実は先生にはこの姿を見せたことなくて......』


「それなら、いつも駅ビルの広告などに映っているものを見かけるので問題ありませんよ」


『！？』


唐突な後ろからの声に、ドッと心臓が跳ねる。

なんだって、私の知人は背後から現れるんだろうか。


「お久しぶりですね、Aさん」

『神宮寺先生......どうしてここに』


相変わらずの美しい髪と、優しい笑顔を見せる神宮寺先生。

ふと隣にいた独歩さんと目が合い、ペコペコと頭の下げ合いを繰り広げる。


「私達もちょうど、約束の店に向かうところでした。ね、独歩くん」


彼が頷いたのも束の間
軽快な靴音を鳴らしながら、一二三が私の隣に肩を並べた。


「先生、こんばんは。今日は遅れて申し訳ありませんでした」

「ほんとだぞ、今日はお前の奢りだからな。Aさんも大変でしたよね......店で少しゆっくりしませんか？」


下がり眉の笑み。営業スマイルにしては随分と柔らかい表情で、独歩さんはそう言った。


チラリと一二三の方を見れば、彼はコクりと一つ頷く。


身寄りがおらず働きづめの私には、こんな風に食事に誘われることは珍しかった。


『じゃあ、その、お言葉に甘えます』

少し照れくさく感じながら返事をする。


私の返答を聞くと、先生は「もちろん」と答え、それから踵を返した。







・


「駅ビルの広告って、僕と撮影したものだよね」

『ああいうのって、意外と見られてるんだね......』



・
追記*プロフィールに夢主のイメ画を追加しました。
閲覧の際、苦手な方はご注意ください。

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