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『あっ、そんなことより幻太郎!携帯電話!』



突然思い出したように、Aちゃんが夢野せんせーに話しかける。

その言葉を聞いて、彼は「あぁ」と声を出しながら袖の中に手を入れた。


「どうぞ、小生が拾ったものです。今から交番に行くところでした」


「あ」


彼が懐から取り出したものは、紛れもなく僕が落とした物だ。

それを見た彼女が、自分のことのようにパッと顔を明るくさせる。


『これ、一二三の......!げんたろ、ありがと〜!』


パッと彼の手を両手で包み、上下に振るAちゃん。

僕のことで喜んでくれているのに、その光景を見て胸がズキリと痛む。
それと同時に、Aちゃんと仲良さげな彼が、一層恨めしく思えた。

彼女は友人と言ったが、一体どういう経緯で知りあった仲なのだろう。



『何かお礼しなくちゃね』


「では、Aの近況報告にしましょうかねぇ」


『それだと特にお礼にならないんだけど......』


彼に向かって、ふにゃりと可愛らしい笑顔を向けるAちゃん。

......羨ましいな、なんて。


謎の焦燥感に駆られ、思わず割り込んで口を開いた。


「お礼は僕がするべきだから、また近々伺わせていただくよ。ひとまず帰ろう、Aちゃん。先生と独歩くんが、駅前の店で待っているみたいだよ」


『わ、ほんと?それは急がないと!』


彼女はそう言うと、書生の彼の手をパッと離して僕の方へ駆け寄る。



『ごめん幻太郎、また今度ゆっくりお茶でもしようね』


「わかりました。連絡待っていますね」



その返事を聞くと、彼女は『行こっか』と僕の半歩前を進んだ。

助けてもらった手前、軽く夢野先生にも頭を下げてから
僕は彼女の後を追った。


何となく、胸はもやもやとしたままだった。









「ふうん......なるほど。面白そうですねぇ」




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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽぴら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年2月18日 2時

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