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思ったよりも電車内は人が多く
特に細身でヤワそうなAちゃんは、足を踏まれるやら髪の毛が巻き込まれるやらで大変そうだった。
だからとはいえ、今の状況を考えてしみじみと思う。
この行動は判断ミスだったかもしれない。
10センチあるかないかという距離感で、Aちゃんがすぐ目の前にいる。
困ったような表情で目を逸らす彼女。僕の思い違いか否か、少し頬が赤いような気もする。
「えっ、と......もう少しだから、我慢してね」
そう声をかけると、ピクリと小さく彼女の肩が跳ねあがる。
どうしよう、物凄く申し訳ないんだけど......
凄い可愛い。
あげくの果てには、目をキュッと瞑りだしたんだよね。
他の人間だったら間違いなく勘違いする。僕もちょっと危なかった。
なにもしないけど。それにしても彼女、ガードが緩すぎやしないだろうか。
睫毛長いなぁ......前も思ったけど、やっぱりいい匂いするし。(2話参照)
邪な感情がポンポンと出ては、頭を横に振る。
彼女は目を瞑って、何を考えているんだろう?
心臓が煩すぎて、聞こえていないだろうか。
渋谷駅までの数分間、そんなことばかりを考えていた。
・
「申し訳ありませんが、こちらでは見当たりませんね」
そう言われて店を出た時には、もう約束の時刻目前。
『どうしよう、この辺りじゃなかったのかな......』
手当たり次第探しながら店まで来たため、もう有力候補はほとんど無いに等しかった。
「ないものはどうしようもないね......」
彼と二人で項垂れていると、ふと上着のポケットが震える。
『ん......誰だろう?』
取り出して確認すると、画面には"神宮寺先生"と表記されていた。
神宮寺先生と言えば、私の母が事故にあったときに一命をとりとめてくれた恩人。
当時だけでなく、今でも意識の無い母だけでなく娘の私も気にかけてくれていて、私のホスト事情も知る数少ない人物なのである。
「友達から?」
『ううん、病院の先生から......ちょっと待っててね』
もしかして母に何かあったのではと、内心ハラハラしながら通話ボタンに触れる。
『はい、愛善苑です』
・
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あかつき(プロフ) - ぽぴらさん» わー!!お返事遅くなってすいません。。えっ!びっくりです!笑嬉しいです…!笑あとこいちゃんめっちゃかわいかたかっこいいです、、、。 楽しみにしてます〜〜!! (2020年4月25日 21時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - あかつきさん» コメントありがとうございます。拙い文ですが、そんな風に言っていただけてとても光栄です!実はあかつきさんの作品、閲覧させていただいてます笑 乱数の妹ちゃん、凄くかわいいなぁと思いながら読んでます(''*) 更新頑張ります〜! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 7328f92863 (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - 感想失礼します。すごく面白いです。一つ一つの描写だったりが上手で読んでいて楽しいです。私も小説を書いているのですが、文才が追い付かず、本当に尊敬しています。これからも更新楽しみにしています。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 15e64c1d44 (このIDを非表示/違反報告)
梓 桜 。(プロフ) - お忙しい中わざわざお返事頂けるなんて恐縮です( ; ; )このご時世ですから落ち着かれている時にゆっくり更新で構いません!更新ありがとうございます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年4月4日 2時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 梓 桜 。さん» コメントありがとうございます。そんなふうに言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) 遅筆ですが、気長に更新待ってくださるとありがたいです、これからもよろしくお願いします´_ _) (2020年4月3日 13時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
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