女王53 ページ5
夢主side
A(すっかり春の陽気だなぁ……)
なんて思いながら、窓をあけて朗らかな風を堪能する。
と言っても私と蛍がいるのは校舎は校舎でも日の当たらない西側の方なので風は陽向と比べると少し冷たい。
次の移動教室はクラス合同の数学授業なので、別のクラスの蛍と移動する。本当は忠とも一緒に行きたかったのだが、教科係のため、ひと足早く教室に行っている。
月島「リーダー、そろそろ移動しないと遅れるよ。」
A「うん。」
蛍に促され、そろそろ移動しようと窓を閉めようとした時、腕に違和感を感じた。
何かが這うような、そんなぞわりとした感覚。
A(……気のせい、気のせい……じゃない!)
窓を閉めようと伸ばした腕を見れば、これまた可愛らしい蛾(嬉しくない)が止まっているじゃないか。
私は咄嗟に反対の手に持っていた数学教材を伸ばしかけた腕へと投げた。
ただ手を振るだけで良かったのだろうけれど、虫が苦手な私にはそんなまともな判断ができなかった。
ところが腕を飛び越えて窓の外へ飛んでいき、バァンッ!!と大きな音を鳴らして眼下にある外廊下の屋根に落ちた教材。
A(……やらかした。)
月島「……ちょ、リーダーなにしてんの?」
蛍が隣からそう尋ねてくるも私が答えられるのはただ一つ。
A「蛾がいたの。」
そう、本当にそれだけ。
それだけで教材外に放り投げ(不本意)てしまった馬鹿が私です。
A(……せめて、人がいないだけ安心した……)
と、安堵したのもつかの間、ひょいっと廊下から顔を出した人がいた。
明らかに教材が落ちた所の真下から出てきた彼は不思議そうに上を見ている。
A(うわぁああ!完全にやらかしたぁぁあ!!)
絶対、うわ何あいつらって思われてそう。
まだ気の優しそうな顔立ちしている方でよかった。
月島「り、リーダー!もう授業始まるから行こう!」
A「え、あ、うん。」
不意に背を押してまで急かしてくる蛍に疑問符を浮かべながら、廊下を進みだしたその時、眼下の優しそうな顔立ちの人と目が合った。
A(……えーと、えーと……!こういう時は……そう!愛想笑い!愛想笑いをしよう!)
笑って誤魔化そう作戦に出た私は頑張って頬を釣り上げてみるも、上手く笑えている気がしない。
確実にこれは引きつっている。
その証拠に、新たに顔を覗かせた女の人が私を見た途端青ざめた。
A(……え、待って、私の笑顔ってそんなに酷いの?)
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星屑(プロフ) - おしるこぉさん» コメントありがとうございます!そうです、彼こそがシスコンを極めた勘違い体質の兄です(キリッ) (2019年2月27日 22時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - 優人さん…………シスコンじゃねぇかッッッ(真顔) (2019年1月24日 19時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - ☆AZUSA☆さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら書き手としても嬉しい限りです。これからもどんどん勘違いが加速していきます(笑) (2018年11月24日 11時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
☆AZUSA☆(プロフ) - 初コメです!兄妹のやり取りがア○ジャッシュみたいで面白いです笑 (2018年11月7日 20時) (レス) id: a8b54384e2 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 後ろのメリーさんさん» 応援の言葉ありがとうございます!毎日待ち遠しく思ってくださるなんて……!書き手としてはこの上なく嬉しいです!たくさん更新できるように頑張ります! (2018年9月29日 21時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星屑 | 作成日時:2018年3月27日 20時