役人志士(ヤクニンロッカー)3

第98話 キスの味 ページ2

ギン) 前から聞こうと思ってたんだけど、キスの味ってどんな味なの？

桂) いきなり出て来たと思いきや、いきなり恐ろしいくらいに答えにくい質問をしますね。

そう言うと唇を尖らせて顔を近づけました。何と無くそれを避けるようにして後ろに体重をかけると、彼はそのまま柱にキスをしました。

ギン) んー…木の香り。なんて、すり抜けちゃうから寸前で止まっただけだよー。

両掌を見せ、戯けたような格好をしているギンくんを呆れたように見ていると、「A様とのキスは何の味だった？」と聞いてきました。

桂) それは…その……。

ギン) 覚えてないでしょ？
頭の中が真っ白な状態でしたんでしょ？キス。

正解です。

ギン) 僕ねぇ…A様とキスしたことあるよ。

その発言にファーストキスの相手が私じゃないことに、ガッカリしました。

ギン) 安心して。しようとしたらカステラで押さえられたから。すっごく柔らかくて、すっごく甘かったよ……(泣)

桂) 勝手に心を読まないで下さいよ。

ギン) 心を読む前に、顔に出てるから。
A様が好きなのに、また幕府側に戻ったA様を連れ戻せなくて悔しいんでしょ？
それが動揺として僕に感情を、考えを教えてくれるんだよ。

そんなに分かりやすくなってしまったと思うとAさんを連れ戻すことが出来なかった自分を憎む程なんだなと。

ギン) 江戸にはA様がいるんだ。
これ逃したら、A様は井伊直弼の指示などを聞かずに、勝手に行動しがちだけど、美男(イケメン)って噂から…注目さてれて。

Aさん、何がどうなったら…そんないい角度に曲がるのですか…(汗)

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