#56 弥太郎、登場！ ページ8
龍馬) 弥太郎、何か食いもんをもっとりゃせんか？
弥太郎) だったらちょうどいいものが、鮒鮨ぜよ。
匂いの強い鮒鮨を持っていた弥太郎。それを口にした桂は、案外いけると高杉に教えると龍馬はガツガツと音が聞こえるような食い方をした。高杉も食えなくはないと顔を顰(しか)めながら鮒鮨を口にした。
弥太郎) 赤かぶら漬けもあるぜよ。
弥太郎はそれを差し出すと、ちょうど漬物が欲しかったと桂が一口頂くが、ここまでしてくれたおかげで、なぜ彼がここに居るのかの謎が薄れてしまっているところを龍馬が聞く。
弥太郎は、彦根で開かれる大きな雷舞があると聞いて商売に来たが、てんでならなかったようだ。
高杉) 大きな雷舞？
弥太郎) あの山を越えた先で行われるって話しぜよ。
弥太郎は左側の小高い山を指差してそう言った。それが自分達の目指していた場所じゃないかと龍馬が言うと、そんな気がします。と桂が。すると、弥太郎はあの町の人は、魂が抜けたようなふぬけになっているから、止めたほうがいい。と忠告するように言った。もしかして……と弥太郎にいろいろと聞いていると、新選組の雷舞だという事が分かった。
高杉) そこへ案内しろ、今すぐだ。
だが、そこにはもう新選組の姿はないらしい。その事実に龍馬が驚く。次の場所に移ったと思うと言うので、桂がその場所がわかるかと問うと、路銀が……っ！と明らかに金を請求していた。
高杉) あ〜、その売れ残りの背負ってる奴、丸ごと買ってやるぞ。
弥太郎) やった！さすが龍さんの友達じゃ！
そして、弥太郎に案内された場所が……
高杉) おい、ここは元の町じゃねぇか‼
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作者名：東雲大我 | 作成日時：2015年8月25日 0時
