【終わりのセラフ】絶望のトンネルの先に【SERVAMP】

＊６＊ ページ12

夢を見た。

真っ黒な世界で1人、ただひたすら走り続ける夢。

後ろからはあの時の……百夜孤児院の家族を殺した吸血鬼が迫ってくる。

前にはミカ兄ィ達がまるで

こっちにおいで

とでも言いたげに手招きをしている。

私はそちら側に行きたくて、吸血鬼から逃げたくて、ひたすらに走る。

しばらく走っていると頭上から一縷の光が差し込んだ。

そこから手が差し伸ばされて、その手を掴めば強い力で上へ上へと引き上げられる。

その手がとても温かくてその手を強く握り返した。


.*･ﾟ .ﾟ･*.


目が覚めると顔を真っ赤にした真昼兄ィの顔があって、私は真昼兄ィの手をギュッと握っていた。

ごめんなさい

と謝れば、

そんなに慌てなくてもいいと言われた。

真昼兄ィは優しいな……なんて思ったけれども、少し恥ずかしくて言い訳をしてその手を離した。


そういえば今日は何のために集まったのだろうか？
まさか私をみんなに紹介するためじゃあるまいし……

もしかして……私のせいでお話が出来ていないんじゃ……
うわぁぁぁ!!やってしまった……また、迷惑をかけてしまった。

『あの、みなさん、今日はいっぱい迷惑をかけてしまってごめんなさい！

……多分する予定だったお話も進んでいないでしょう？』

「いや、それは構わない。
今日は収穫もあったしな」

そっか……よかった
迷惑はかけたっぽいけどちゃんとお話もできたみたい

「じゃあそろそろ俺達お暇するよ
もうすぐ暗くなるしAもいるからさ。」

と真昼兄ィが言うと解散の空気になった。

「そっすね。俺も家の手伝いしなきゃいけないし。」

「僕達も帰るぞリリイ。
洞堂を呼んでくれ」

「はい。承知しました
彼を呼ぶなら真昼くん達も乗せていかれてはどうです？」

「えっいいんですか？
じゃあお言葉に甘えて」

「なっ！僕はまだ許可を出していないぞ！
……はぁ。しょうがない、今回だけだぞ」

どうやら御園さん達と一緒に帰れるらしい。

まだお別れしなくていいと思うと嬉しいなぁ〜

「A、なんだか嬉しそうだな」

『うん！だってまだみんなとお別れしなくていいと思ったら嬉しくて』

「よかったな！
でも鉄とはここでお別れだぞ。
鉄はここの息子だからな」

そうだったんだ……でもそうか。鉄さんがこの部屋に来る前に御園さんがお父さんに呼ばれてるって言ってたもんね。納得

「お前達、そろそろ行くぞ」

「わかった！行くぞ、A」

『うん
バイバイ、鉄さんヒューさん』

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