story-002 ページ4
首に添えられた手が離れ、ヒュッと空気が喉に入ってくる。
「ｹﾞﾎｯ…ｯ…」
両手を胸に添えてゲホゲホと咳をし、酸素を取り入れる。
かすれていた視界は、すこしずつ色を取り戻す。
そっと前を見ると、私の目の前にはあの怖い怪物、
ではなく
黒いひらひらと風になびくマントをはおった男の姿だった。
だ、誰。
マントの男は私に背を向けているため、顔は見えない。
ぼーっと凝視したまま固まっていると、彼はひとつため息をつくと、こちらに振り向いた。
「…怖かった？」
「…え？」
男にしては少し高めな声で、私に話しかける。
「は、い…」
彼が振り向いた時に見えたからわかったけど、
彼の先に先程のゾンビがまだすぐそこに居て、私を凝視していた。
自分を守るように、ぎゅっと自分の体を抱きしめた。
というか、彼は何者なんだろう。
彼は私をじっと見て、うーんと唸るとなにか閃いたかのように口を開く。
「こいつでも持っとけば。」
そう私に言って、彼がやまだ と呼ぶと、
なんと彼の右肩からなにか動物がぴょこっと出てきた。
「(た、たぬき…？)」
彼は、やまだ、と呼ばれたたぬきを掴むと、こちらに渡してくる。
やまだちゃん(?)は私の近くに着地すると、そろそろと私の膝に乗ってきて、胸に添えられた手をぺろぺろと舐めてくる。
「(か、可愛い…)」
やまだちゃんの頭を撫でてあげると、キュゥと鳴いてこちらにスリスリと体を寄せてくれる。
「あの、えっと…ありがとうございます」
マントの彼にお礼を告げると、ん。と返事をしてくれた。
「あー、それとほら。見たくねえならこれも被っとけよ」
そう言って、彼は自分の羽織っていた黒いマントを脱ぎ乱暴に上から被せた。
「…わっ」
視界が暗くなりびっくりしたが、手元にいるやまだぬきちゃんがもぞもぞと動いていて、それだけで安心した。
マントのおかげで、ゾンビが目に入ることもない。
なんだか、彼のことが頭から離れなくて。
ふわふわした気持ちのまま、そっと意識を手放した。
．
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青花 - 本編完結(?)おめでとうございます！！番外編も楽しみにしてます！！ (2018年10月11日 0時) (
レス) id: 1d359370ef (このIDを非表示/違反報告)
ネージュ(プロフ) - 完結（？）おめでとうございます！番外編待ってますねー！ (2018年10月10日 21時) (レス) id: 4cedcbaa5d (このIDを非表示/違反報告)
カナリアの花(プロフ) - 青花さん» コメントありがとうございます。この小説にあまり自信がなかったので、そう言ってもらえて嬉しいです!完結までお付き合いいただければ幸いです。 (2018年9月26日 0時) (レス) id: cbcbd18a18 (このIDを非表示/違反報告)
青花 - コメント失礼します！この作品が投稿されてから読んでます！とってもおもしろいと思います！コメントをするのが遅くなってしまいましたがこの作品とても好きです！これからも頑張ってください！！応援してます！ (2018年9月24日 22時) (レス) id: 1d359370ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアの花 | 作成日時：2018年9月11日 18時
