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第7話『貴方に手を』 ページ7

「ちょっと待って!!私行くなんて一言も」

「アヤちゃんに拒否権なんてないわ」


彼女はクスッと笑う。
その笑顔が今一番憎い!!

私は彼女に連れられて、遊園地に来ていた。


「だって、何か思い出すかもしれないじゃない」


色んな場所に行って、何かを思い出せば手掛かりになる。
彼女にしては、考えてくれてるんだな。って、その時は感心したのに……


絶対、遊園地に行きたいだけでしょ!!


「大丈夫よ、アヤちゃんがずっと手を握ってくれれば良いんだから」

「はぁ……手袋つけながら手を握るよ……」


そうしないと、私の手が霜焼けになる。

彼女は私の手袋を見て、クスクス笑う。


貴方の為なんですけど!!

今日はあんまり寒くないから、手袋要らない筈なのに……

「でも、入場料は要らないわ。だって、姿を消せば良いんですもの」

「そんなのダメ!ズルはしちゃ」

「アヤちゃんは真面目ね……」


貴方が不真面目なんだと思う……
呆れながら手を握った。

「最初に何乗るの?」

「ジェットコースター」


へぇ、ジェットコースター大丈夫なんだ。

「ああ、早々」

「アヤちゃん、大変ね」


なんのこと……?
その時疑問に思っていた私が間抜けだった。

「絶対に企んでたよね」

「嫌だわアヤちゃん。たまたまよ」


嘘だ。絶対に嘘。
だって、口元が緩んでるもん!!

手を繋ぎながら乗るわけで……

私と彼女の、片方の手はバーを握れない。

片方握ってないだけで、こんなに怖いなんて……


「落ちませんように落ちませんように」

「ビビリね」

誰のせいなんだか……

ガタンゴトンと、上に登って行く。


そして、頂点に着き、ゆっくりと下へ……


「きゃあああああああ」

「アヤちゃん一緒にバンザイ!!」


取り敢えず、降りた瞬間に彼女の頬をつねった。

「次はお化け屋敷」

「これなら……未だ」


だって、本物がここに居るから。
そんなに怖くないよね。


「アヤちゃん、怖くないの」

「なんだか、リアクションに疲れた」

「……少し休みましょう」


同意見。
少し、喉が渇いた。

第8話『忘れること勿れ』→←第6話『雪女の経緯』


いずれ、朽ちて汚れて逢えるなら

今から行くよ。貴方の魂を喰らって。


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白波心(プロフ) - S・Sさん» ありがとうございます。此方こそ貴方様のお時間を割いてまで読んで頂き有難うございました。コメントのお返事が遅くなり申し訳ございません。 (2020年4月14日 21時) (レス) id: 4a6ed9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
S・S - ジーンときてしまいました……すごく面白かったです!楽しい時間をありがとうございました! (2020年4月13日 14時) (レス) id: 0df261d861 (このIDを非表示/違反報告)
白波心(プロフ) - 46さん» ありがとうございます。言葉選びは慎重に行なっていたので、褒められて嬉しいです。返信が遅くなり申し訳ございません。 (2019年11月16日 13時) (レス) id: 4a6ed9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - めっちゃ感動しました!言葉の選び方など天才的です・・・ (2019年11月2日 12時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)
風野咲夜 - 番外編も面白かったよ! (2019年6月10日 17時) (レス) id: ef27f9c60f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白波心 | 作成日時:2019年5月25日 23時

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