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その日の夜、Aは目の前に広がる、いつもより一層豪華な食事に目を輝かせていた。
『え……?何これ……なんで……!?』
「よく分かんないけど、おそ松兄さんに言われたから」
「僕も手伝ったよ!!!」
『うぐっ…………何だそりゃ』
「さあね」
どぅーん!!と腰辺りに抱きついてきた十四松の頭を撫でながら、Aはまた美味しそうな匂いが立ち込める食事へと目線を移した。
そこには、チョロ松をはじめとする食事係の苦労が見て取れる。
というかそもそも、十四松は料理ができたのか。
まぁ、流石にチョロ松も一緒に作っていたのだから、特に変な物は入ってはいないだろう……と、信じよう、と捲っていた袖を戻しているチョロ松を横目で見ると、視線に気付いたのか、チョロ松はAの方へ顔は向けないまま淡々と答えた。
「十四松は料理上手いよ。これもほとんど十四松が作ってるし、僕は手伝っただけ」
『……おお……凄い、ね……』
「僕凄い?すごいー!?」
『うん。凄い凄い。美味しそうだよ』
まるで子供をあやすように頭を再度撫でると、十四松は「へへー!」とはにかむように笑った。
その無邪気な笑顔に、Aは何故か胸の奥がざわりと蠢くような気がして首を傾げた。
「あっ!!十四松ズリぃ!!」
「ちょっとおそ松兄さん。醜すぎ〜」
「お〜れ〜も〜!!」
『うわっ』
突然騒がしくなった部屋と、突然のしかかる背中の重みに驚いたAは短く声を発した。
現実に意識を引き戻されたAは自分の首におそ松の腕が回されていることに気が付き、そのまま思いっきり肘でおそ松を殴った。
咄嗟のことで、Aは何故そんな事をしたのか自分でもよく分からず、慌てておそ松に駆け寄る。
『ご、ごめん、大丈夫?』
「十四松は良いのに俺にはこの仕打ちかよ……兄ちゃん泣いちゃうよ?」
『だからごめんってば。よく分かんないけど君に抱き着かれると……なんか、焦っちゃう?慌てちゃう?みたいで……ごめん』
「……ふ〜ん?」
Aがしどろもどろになって言うと、おそ松は怪しく口角を上げて頷いてから「まぁいいや」と席に座った。
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サクラ - とてもよかったです!その後話が欲しいです! (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - おそ松と結ばれて欲しかった… (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
yuttan(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ななし2号さんの作品好きです!だいぶ遅れてしまいましたが…本当におめでとうございます! (2016年7月27日 20時) (レス) id: a64d1d73ae (このIDを非表示/違反報告)
ななし2号(プロフ) - 丸餅さん» コメントありがとうございます!更新滞ることもありましたが最後まで読んでいただけて嬉しいです!番外編書き終わり次第新作も出していこうと思うのでよろしくお願いします! (2016年6月9日 7時) (レス) id: 8f8356ff37 (このIDを非表示/違反報告)
丸餅(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほんともう素敵すぎて…!!新作も楽しみにしてます!丸餅でしたー!! (2016年6月5日 16時) (レス) id: 404e0cc21b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし x他2人 | 作成日時:2016年3月8日 13時