【マフィア松】狂っちゃってる系ネトゲ廃人女子【おそ松さん】

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しかし、それもあくまで舞莉夏の意思だった。

父は舞莉夏に対し、「松野ファミリーにはAを人にすることができる技術士がいる」と、そう仄めかした。

舞莉夏が食いつかない訳はない。

舞莉夏は父の思惑通りに、単身松野ファミリーへと乗り込んだ。


しかし、父の誤算は舞莉夏本人ではなく松野ファミリーの方にあった。

彼らはAが自身の目で見たとおり、感じたとおり、そこまで冷徹なわけではない。

それは、マフィアとしての価値観の中での括りに過ぎないけれど。

そんな彼らはすぐに舞莉夏を殺したりはしなかった。
それどころか、彼らは舞莉夏に協力した。

長期間帰ってこなかった舞莉夏を死んだと思ったのか、父はそのまま舞莉夏を死んだものと扱った。

Aを、完全な“娘”に育てるために。

しかし、そう簡単に事は転がらない。


Aが、自分の知らない知識を付けていた。舞莉夏が教えたのか、はたまた自ら学んだのか。そんなことはもはやどうでも良かった。

問題は、自分が把握していない力をAが付けていたことにあるのだから。

父は恐れた。
父は戦いた。

そして、終にはAを自らから遠ざけた。


そんな時だった。

舞莉夏と、松野ファミリーが動き出したのは。

タイミングが良いのか悪いのか、とりあえず父にとっては舞莉夏は格好の獲物だった。

……自分の娘を、取り戻すための。


父はAを盾に、舞莉夏を引き戻そうとした。

もちろん、舞莉夏も断ろうとするが、Aを引き合いに出されてしまってはどうしようもない。

しかも、思い通りにならないなら代わりを作ればいい、という思想を持つ父だ。どうなるかは目に見えて分かるだろう。

そんな舞莉夏の、松野ファミリーに対する最後の頼みがふたつ。





『私を殺して』
『お嬢を助けて』

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