【マフィア松】狂っちゃってる系ネトゲ廃人女子【おそ松さん】

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重い瞼を、ゆっくりと開いた。

開いた瞼の隙間から差す光は、まるで何億年もの時を経て目を覚ましたかのような錯覚に陥らせるほど眩くAを差す。

目を何回かぱちぱちと瞬かせ、段々とその光に慣れていくと、そこには見覚えのある天蓋が見えた。


『……帰って来てる』


Aは自らの足で帰ってきた覚えのない自室を見回し、昨日……と呼んでも良いものか、とりあえず記憶が途切れる前までのことを思い浮かべる。


『……そっ、か』


まるで走馬灯のように浮かんできた情景は、まさに自らの手で彼女を、舞莉夏を殺したところだった。

ふとその場面(シーン)を思い浮かべたと同時、Aの喉の奥から何かが這い上がってくるような錯覚に陥る。

それは、罪悪感でも悲壮感でもなく。

ゆっくりと上体を起こしたAは、自らの手を見つめた後、自分の存在を確かめるように握ったり開いたりを繰り返した。


『……あーあ』


こーろしちゃった、ころしちゃった。

まるで童謡のように軽やかな、どこか恐怖を孕んだ唄声がAの耳を掠めた。

それは、Aの脳が生み出した幻聴にすぎない。

しかし、それはじわじわとAの心を、脳を、思考を蝕んだ。


『だーめ……』


約束したんだから。

そう言い聞かせるも、自分の中の奥底では後ろめたさから、現実から楽になりたがっている気持ちも渦巻いている。

Aはそれを振り払うようにベッドから降り、窓際へと歩いて行った。

部屋に一つだけある少し大きめの窓の外には、朝焼けがまるで額に入れられた絵画のように静かに、そして凛とした雰囲気を纏ってビル街の隙間から覗いていた。

その柔らかな光が、Aに深く刺さった。


「……お、起きた？」


不意に、そんな声が聞こえた。

Aゆったりと振り向くと、そこには見慣れた赤。


『……うん。おはよう』

「起きてすぐで悪ぃけど、話、聞かせてな」

『……うん』


答え合わせの、時間。

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