【マフィア松】狂っちゃってる系ネトゲ廃人女子【おそ松さん】

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《大丈夫。ちゃんと貴女が帰れるように手は尽くすわ。
ただそれは、一時的なものに過ぎない》

《貴女が心から帰りたいと思えるようにならなきゃいけないの。貴女には、まだ迷いがあるから。それを、断ち切らなくちゃならない》


心から帰りを待ってくれている人は居るのにね。

そう言って声はカラコロと笑った。
……Aの声と、そっくりそままの声で。

開放。

それは、Aとの別れ。


『貴女には……貴女たちには、本当にお世話になったね。ありがとう……』

《いいのよ。そもそも私は、貴女のために生まれたんだもの。当然のことよ》


幼い頃にAに度重なって降り掛かった悪夢から、自らを守るために生まれたAではない、別の人格。

舞莉夏を喪った今、それはもはや克服したものと同義。

過去(トラウマ)を克服したのなら、もう彼女たちも必要ない。

卒業。

まさにそんな言葉が似合うのかも知れない。

ぱたり、ぱたりと雨が降りしきる。


《……後は、話すだけね。貴女のコトを》

『でも』

《でもじゃないの！
……今更逃げるなんて言ったら、承知しないわよ》

『ごめんってば』


ばらばらに剥がれ落ちていたはずの、流れていってしまったはずのものが一つ、また一つと元の形を……否、また少し形を変えて象っていく。

それはまるで、これまでのAとこれからのAの別離を意味しているようにも見えた。

いざ別れるとなると、こうも込み上げるものなのか。

Aにとって、彼女たちはどれだけの存在の大きさなのだろう。

雨はいつしか溢れていた涙と混ざりあって下へと垂れる。


『……ありがとう』

《……こちらこそ》


暖かい光が、Aを包んだ。

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