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「どうすんの、おそ松兄さん……」
「どうするもこうするも、アレはあいつじゃねえよ。
……そもそも、人間かどうかも怪しいけどな」
おそ松がそう言い終えると同時に、突然耳をつんざくような笑い声が響く。
それが彼らの前に立ちはだかる彼女から発せられているものだと気付くのは別段遅くなかった。
バッと一斉に振り向いた彼らの目に映ったのは、先程までの儚いながらも美しさを伴う上品な笑みとは打って変わり、裂けてしまうのではないかと思えるほど醜く吊り上がった口角、焦点の合わない瞳で彼らに目線を定めている。
「別人だ」と言われば納得してしまいそうなその豹変ぶりは、彼女独特の肉体を見やればようやく同一人物だと理解できるほどだろうか。
まるで狂った機械のように……否、彼女は狂った機械だ。そんな彼女の口から絶え間無く溢れ出すノイズ。
それは止むことはなく、おそ松たち4人の鼓膜を刺激し続ける。
「みっ、耳が……っ」
「……っ」
4人が苦痛に顔を歪めていると、ふと突然ノイズが止んだ。
彼女を見やると、彼女の顔には相も変わらず歪んだ笑みが貼り付けられているが、彼女はそのまま左手に握っているハンドガンの銃口を自らの口の中に突っ込んだ。
そして、石の埋め込まれていない右眼でぎょろりと彼らを見つめると、その目元に優しい笑みを浮かべた。
……それは、あまりにも彼女に似ていて。
否、似ているというよりは“同じ”だと言った方が正しいのだろうか、そんな笑みに彼らが息を呑んだことなど露知らず、目の前の彼女はその笑みのまま引き金を引いた。
パン、という残響、の中、彼女は、倒れ
「う……っ、うわあああああああああああああっ!!」
「チョロ松!!落ち着け!!」
「に、にいさん……!」
狂ったように頭を抱え座り込むチョロ松。
違う、アレは“あいつ”じゃない。
分かってる。分かってるのに。
あの優しい笑みが、脳裏に焼き付いて離れない。
目の前の彼女は自分を撃ったのにも関わらず、ニコニコと優しい笑みのままむくりとまた立ち上がった。
チョロ松以外の3人は彼女をギッ、と睨むが、彼女は気にしないというような様子で蹲るチョロ松を見つめた。
『何してんの?置いてくなんて酷いなぁ』
不意に、カラコロと笑い声が響いた。
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サクラ - とてもよかったです!その後話が欲しいです! (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - おそ松と結ばれて欲しかった… (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
yuttan(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ななし2号さんの作品好きです!だいぶ遅れてしまいましたが…本当におめでとうございます! (2016年7月27日 20時) (レス) id: a64d1d73ae (このIDを非表示/違反報告)
ななし2号(プロフ) - 丸餅さん» コメントありがとうございます!更新滞ることもありましたが最後まで読んでいただけて嬉しいです!番外編書き終わり次第新作も出していこうと思うのでよろしくお願いします! (2016年6月9日 7時) (レス) id: 8f8356ff37 (このIDを非表示/違反報告)
丸餅(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほんともう素敵すぎて…!!新作も楽しみにしてます!丸餅でしたー!! (2016年6月5日 16時) (レス) id: 404e0cc21b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし x他2人 | 作成日時:2016年3月8日 13時