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チョロ松が戦線に戻ってから数分が経とうとしていた時、突然辺り一帯にけたたましいアラームが鳴り響いた。
《総員撤退、撤退!【
そんな声がメガホンから放送されると同時に、彼ら4人に襲いかかっていた戦闘員たちは一目散にその場から逃げ出した。
しかし、彼らは逃げる敵を追うでもなく、ただその場に立ち止まり長く細く息を吐いた。
「……お前ら、死ぬなよ」
「フッ、何回言うんだ、おそ松」
「おそ松兄さんこそ、1人で突っ走るなよ」
「勝てマッスルマッスル!!」
それなりに距離はあるし、騒ぎながら逃げる敵の声もあるのだが、彼らの耳には兄弟の声がハッキリと聞こえていた。
愛しい、愛しい兄弟たちの声。
誰か1人でも欠けてはならないし、欠けさせてはならない自分の、自分たちの欠片。
俺があいつで、俺達は俺。
おそ松の口癖を、彼ら兄弟は心の中で反芻した。
《総員撤退完了!【
「……なら、好都合かね。一松」
《分かってる》
おそ松がインカムに語りかけた次の瞬間、どこか遠くで軽快な銃声が響き渡った。
それと同時、奥のシャッターが重々しく上がり、奥から1人の女性が静かに出てきた。
「……っ」
「割り切れよ、チョロ松」
「分かってる……っ」
まるでどこかの映画の演出のような白い煙が晴れ、女性の姿が露になる。
右腕と両脚はまるでロボットかのように機械化され、左眼には紅い石のような物が埋め込まれていて、腰には2本の刀、そしてその左手にはハンドガンが握られていた。
さらには、背中に機械の翼のようなものが備え付けられていて、そんな彼女を覆うかのように、金の薄いヴェールのようなものを被っている。
長い睫毛を伏せ、口元にはゆるりと笑みを浮かべる彼女はまさに“星女神”と呼べるかもしれない。
だが、そんな呼称も、両脚から溢れる夥しい量の血液を目の当たりにすればその口から飛び出すことは無いだろう。
《どうだね、松野ファミリー諸君。
これが私の、私の娘の最高傑作だ》
不愉快な笑い声が響いた。
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サクラ - とてもよかったです!その後話が欲しいです! (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - おそ松と結ばれて欲しかった… (2017年12月25日 11時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
yuttan(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ななし2号さんの作品好きです!だいぶ遅れてしまいましたが…本当におめでとうございます! (2016年7月27日 20時) (レス) id: a64d1d73ae (このIDを非表示/違反報告)
ななし2号(プロフ) - 丸餅さん» コメントありがとうございます!更新滞ることもありましたが最後まで読んでいただけて嬉しいです!番外編書き終わり次第新作も出していこうと思うのでよろしくお願いします! (2016年6月9日 7時) (レス) id: 8f8356ff37 (このIDを非表示/違反報告)
丸餅(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほんともう素敵すぎて…!!新作も楽しみにしてます!丸餅でしたー!! (2016年6月5日 16時) (レス) id: 404e0cc21b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななし x他2人 | 作成日時:2016年3月8日 13時