【マフィア松】狂っちゃってる系ネトゲ廃人女子【おそ松さん】

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『……え』


Aはただ呆然と声を出すことしかできなかった。

「次のターゲットは“ミュトスファミリー”だ」と、淡々と告げられたAの心情は穏やかなものでは無かった。

それでも、Aの中のどこかで“自分を必要としてない場所なんて壊してしまえば良い”と囁く自分もいる。

だが、曲がりなりにもあそこはAの家だったところ。

親不孝とかそれ以前の問題だ。


「……それで、言いづらいんだけど……」

『？』

「その、依頼主が、Aちゃんを前線に……って」

『……まじかよ』


苦笑いを浮かべるA。

前線に出るということは真っ向から相手を潰しにかかるということ。

きっと、その中にはAに良くしてくれた新人や、幹部も居るだろう。

ましてや、実戦は２回目だし、しかもその１回目はスナイパーとして。

Aは少しだけ手が震えるのが分かった。


「……まあ、本番は明日だからな。今日は前線で戦うための訓練すっぞ」

『おっけ』


じゃ、30分後に。
と、部屋を出て行ったおそ松とチョロ松を見届けてから、Aはぼふりとソファに倒れ込んだ。


『はぁ……。人生って上手くいかないなぁ』


Aは膝を抱え、チラリとパソコンを見た。

最近、全くやれていないネットゲーム。
前は、1日でもやらない日があれば死にかけていたというのに。

今では、違う意味で死にかけている。


『戻りたい……』


あの頃みたいに、のんびりダラダラできていた日常に。

そんな、願っても叶うはずのないことをボソリと空に溶かした。

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