イメチェン。 ページ3
「じゃあ、本当に気をつけるのよA。困ったことがあったら誰でもいいから相談すること。」
彼氏だって清兄だって大学の友達だって誰でもいい。
必ず相談して、そのままにしないこと。
ママからはそれだけ。
とにかくそれだけは固く約束をした。
、、、パパは。
「えっと風呂にちゃんと入って、ご飯、「涼平さんそれもう良いわ。」えぇっ、」
ついに切られた。
改札口でまだぐだぐだ言ってるからだよもう、、、。
『行ってくるねパパ、ママ。』
キャリーケースひとつ分。
それすらもここまで俺が持つんだと言って聞かなかった荷物を引き取って。
「頑張ってね。」
「いつでも帰ってきていいんだからな、」
優しい私の両親。
たくさんの辛いことも2人のおかげで乗り越えられたと思ってる。
薄情かもしれないけど、前の世界の両親の影はもうほとんどない。
私の両親は、この2人で。
ずっと一緒だった今までとは違う。
私は私で、自分で生きるすべを模索していくんだ。
『行ってきます。』
実はさっきからチラチラ見えてた改札の向こう側の緑の頭を目印に。
改札を通って歩いていく。
「!A、」
『おはよう真琴、遙。』
どうせ行き先は同じ東京なのだからと長旅を共に過ごすことにしたのだ。
、、、のだけれど。
「っ、(ぱくぱく、」
「A、、、それは、」
『?』
なにやらひどく驚いた顔をする2人に片眉が自然に上がった。
でも遙がそれ、って言いながら見てた場所がわかって1人笑う。
『そう、イメチェン。』
似合う?
そう言って頭を振って見せれば、肩上の髪がサラリ揺れた。
今までずっと綺麗に綺麗に新体操のためだけに。
必死に伸ばしてきたその黒髪を切ることに、迷いがなかったわけではない。
その証拠に私の前髪はまだないままだ。
だけど、
「に、あってるけどそういう問題?!」
「、、、よかったのか。」
まるで自分のことのように焦る真琴にどこか不思議そうな視線を向けてくる遙。
そんな2人を安心させるようにまた笑う。
『いいの、私のけじめの1つだから。』
それでもいいの。
迷いがあったってなんだっていいの。
そうやって、人は無理やりだってなんだって、前を向いて生きていくのだと思うから。
それに、私には心強い味方がたくさんいるから。
『ほら時間!早く乗ろう新幹線!』
楽しみだ、と笑ったら2人もやっと納得した表情を見せてくれて。
私も、これからの新しい生活に胸を弾ませたのだ。
562人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヒヨコ | 作成日時:2018年12月20日 10時