第８章 ページ10
和サイド
うっすらと目を開けてみると、眩しい光が俺の目に当たっていた。俺、死んだ？ここ、天国？
でもしばらくすると、ドアが開く音がして、雅にぃのでかい声が聞こえてきた。声の方に目を向けると、雅にぃがずっこけていた。
雅：「ッ、痛ってー！もうなんなの？」
あ、やっぱりこの人ばかだなーって改めて思った。俺はゆっくりと酸素マスクを外し、ニヤリと笑った。
和「雅にぃの方が見てて大丈夫なのか？って思うけど。」
みんな驚いたように俺の方を見て、みんな笑顔になって喜び出した。
智：「和、熱測るよ〜。」
智にぃはそう言って、体温計を俺の脇の下に挟んだ。しばらくすると、ピピピピッとなって、智にぃが体温計をとった。
智：「３７.9か〜。まだ熱あるけど、前よりマシだね。運ばれてきたときは３９度もあったんだよ。もぉ本当に心臓止まるかと思ったんだからな。」
３９度？どうりであんなにしんどかったわけだ。俺は苦笑いをした。
潤：「和、マジ心配したんだからな。」
おぉ、珍しく潤の嬉しそうな声。よくみると、潤のほっぺには涙のあとがあった。
和：「え？もしかして潤泣いてた？」
俺は少し驚いたがニヤニヤしながら潤をいじりまくる。そしたらもう耳まで真っ赤になっちゃって。
潤：「は？べ、別に…あーもう、お前誰のせいだと思ってんだよ？」
和：「俺のせいでしょ？」
俺はニタリと笑うと、潤はさらに赤くなった。いいとこだったのに、翔にぃが止めちゃったけどね。
翔：「まあまあ、喧嘩しないで。でもまじで和が元気でよかった。」
笑顔で翔にぃはそう言うと、俺の肩をぽんぽん、と優しく撫でてくれた。
翔：「和、病院の先生に話聞いたんだけど、今回は和の発作すげー大きくてさ、経口ステロイド薬使わないと喘息が収まらなかった程ひどかったから、あと３日は入院だってさ。」
３日入院か。学校いけねーな。それってちょうど文化祭の時じゃん。せっかく色々準備したのにな。
少し凹む俺を見て、雅にぃは俺のことを励まそうとしてくれた。励ましてくれてはないけど、まぁ気持ちは伝わったってことで。
雅：「だ、大丈夫だよ！潤が文化祭とかの写真とって和がその写真見ればいいじゃん。な、潤？」
潤：「え？あ、あぁ。まあ、いいけど。」
俺は呆れたような顔をした。
和：「いや、写真をわざわざ俺に見せるって何？イヤミ？」
俺は大声の笑いに包まれた。まるでいつもの家みたいだ。早く治して家に帰りたい。
Fin.
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
