第６章 ページ48
智サイド
潤から電話がかかってきて、荒い息しながら、「助けて」って。その時、僕気付いたんだ。何で潤が和と病院に行きたくなかったのか。
多分、その時からもう体調が悪くて、相当辛かったんだろう。
なのに僕は気付いてやれなかった。
今、走ってる間に思いついても意味なんてないよ。
僕は歯を食いしばって家まで走った。
玄関のドアを開けたら、家の中はシーンとしていて、僕は急いで潤の部屋まで上がった。
智：「潤！」
潤は床でりんごみたいな真っ赤な顔してぐったりと倒れていた。側にはには携帯が転がっている。
智：「潤、大丈夫？潤？」
潤はうっすらと目を開けて、辛そうな咳をしながら、僕の名前を何度も呼んでくる。
潤：「さと、にぃ…」
智：「ごめんね、潤。ごめんね、気付いてやれなくて。僕がもっと早く気付けばよかったんだよ。」
すると潤は首を一生懸命に振ってくれた。
潤：「ちが、ゴホッ、俺が、ハアッハアッ、隠してた、から…ゴホッ、ゲホッ！」
智：「っ…ありがとう、潤。あのね、病院、行こっか。翔も雅紀もいるから。」
潤：「…かなぃ。」
潤はどうしても病院に行きたがらない。熱もすごく高くて辛いはずなのにっ。
何で…？
潤：「俺、だいじょう、ぶ。ゴホッ、ゴホッ！熱、ない…俺、病院、ゴホッ、ゲホッ、行かないっ…」
熱がないなんて、雅紀でも騙されない下手くそな嘘ついてまで、病院に行きたがらない潤。
潤：「か、ず…の方が、ゴホッゴホッ、熱ある…さと、にぃ、和のところ、行っ、て…」
潤…
和のことが心配で、僕たちと和に心配かけたくなくて、病院行きたくないのかな…？
智：「潤、和は大丈夫だから。今は自分の体の心配しよ。和はね、僕が病院出る頃にはだいぶ熱も下がってたから、楽になってたよ。」
僕は潤にそう言うと、潤はホットしたかの様に小さく微笑む。
潤：「よか、った…」
僕は潤の手をぎゅっと握る。
智：「ほんとのこと言って、潤。辛い、ってちゃんと正直に言って。」
潤は少しだけうつむいたけど、ちゃんと話はてくれた。
潤：「咳、出て苦しぃ…ゴホッ、ゲホッ、それと息吸ったら、胸、なんか痛くて…ゲホッ、後、なんかね、ドキドキする…」
僕は医者じゃないし、詳しくはわからないけど、ただの風邪じゃないよね。
智：「病院行こう、潤。僕だけじゃ何もできないから。翔に迎えに来てもらうから、待ってて。」
僕はそう言うと携帯電話を取り出して翔に電話をかけた。
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
