第９章 ページ32
雅：「っごめ、翔にぃ。ハア、ごめっ、んなさい。ハアッ。」
翔にぃは俺の涙を優しくふき取ってくれる。
智：「なんで？ごめんとか…」
その途端、
ズキズキと今までとは比べ物にならないくらいの頭痛が波のように襲ってくる。
雅：「っ…い、たぃ！」
みんな俺のそばに駆け寄る。
翔：「どうした、雅紀？頭痛い？」
翔にぃが医者の顔になった。
雅：「っハアハア。痛いっ、翔にぃ！」
智にぃ達はぎゅっと俺の手を握ってくれて、なんども『大丈夫』と優しくつぶやいてくれた。
翔：「大丈夫。深呼吸して。しばらくしたら頭痛収まるから。」
俺は言われた通りに深呼吸を何回かする。だんだん頭痛は弱まってきて、最後には痛みがスゥッと消える。
しばらくの沈黙が続き、やっと潤が口を開いた。
潤：「ごめんって…どう言う、意味？なんで、ごめんとか言ったの？」
謝るのが当然じゃん。俺は迷惑かけたんだから。
雅：「俺、翔にぃの誕生日なのに倒れたりして。マジで…最悪な誕生日だよね。みんなにも色々迷惑かけたし。」
みんなの顔を見渡すと、ポカーンと口開けて、呆然としている。
なに？俺、いけないこと言ったか？
和：「ふふ、雅にぃは無駄に敏感なんだよ！あははっ！」
笑ってる…？
和につられたのか、みんなも大笑いし始める。
潤：「俺らは全然迷惑だとか思ってないよ、雅にぃ。な、智にぃ。」
智にぃも優しく微笑んでこくんと頷く。
智：「そうだよ。雅紀はわざと倒れたわけじゃないんだし。雅紀は全然迷惑とかかけてないよ。」
翔にぃはプハッとまた笑い出す。
翔：「雅紀、そんなこと思ってたのか。俺らは全然迷惑だとか思ってないし、別に俺の誕生日なんてどうでもいいよ。誕生日なんて毎年くるもんだろ？」
翔：「それに、俺はみんなといられる方が誕生日プレゼントもらうとかよりもよっぽど嬉しいし。」
なんだ、俺が勝手に思い込んでただけなんだ。
翔にぃの言葉を聞いた瞬間、俺の気がすっと軽くなるのを感じた。
智：「翔の誕生日は雅紀が良くなったら。今は、自分の体を優先して。」
智にぃは、これまで何があったか全部話してくれる。
翔「もうちょっと打ち所が悪かったら、本当にお前のことなくしてたかも。」
俺はベッドの上で起き上がる。
雅：「ありがと、翔にぃ。助けてくれて。」
翔にいはちょっと照れ臭そうに笑った。本当に感謝してるんだよ、翔にぃ。
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
