第８章 ページ31
雅紀サイド
俺が目を開けると、あたりは真っ暗だった。
本当に、何にも見えないくらい真っ暗。
そしたら、急に翔にぃがどこからもなく現れた。
『翔にぃ！』
あれ？
声が…
出ない。
思いっきり叫んだはずなのに。
出ない。
翔：「お前、俺の誕生日のこと忘れてたのか？最低だな。」
翔にぃのこんな冷たい声、聞いたことない。すると、翔にぃは俺に背を向けて暗闇の中に歩いて行く。
次に、智にぃが現れる。
智「翔は楽しみにしてたんだぞ。どんだけ翔に嫌な思いさせるつもりだよ。」
ごめん。俺はずっと心の中で叫んでた。
ごめん、翔にぃ。
ツーっと涙がこぼれ落ちる。
そしたら、潤と和が目の前にいる。
和：「雅にぃ、みんなにどんだけ迷惑かけるつもり？」
潤：「雅にぃのせいで、翔にぃの誕生日がめちゃくちゃだよ。」
ごめん、
ごめん、
ごめん。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そしたら、みんな俺から離れて行った。
俺を置き去りにして、みんな前を進んでいった。
みんな、行かないでよ！
置いて行かないでよ！
俺を、ひとりにしないで…
「待って。ねえ、翔にぃ！置いてかないで！」
やっと声が出たのに。でも誰も止まってくれない。誰も俺の声なんかに耳を傾けない。
しょうがないのかな。
そうだよな。せっかく翔にぃの誕生日なのに、俺のせいでぶち壊しだよな。
俺が悪いんだ。
俺のせいだ。
俺が迷惑かけたんだ。
？？：「雅紀、雅紀。」
誰か俺を呼ぶ声がする。
この声…
翔にぃだ。
恐る恐る目を開けると、翔にぃが心配そうに俺を見つめていた。よく見ると、翔にぃの後ろで、みんなが俺のことを見ていた。
智：「大丈夫？どうかしたの？」
…あ、俺のほっぺ濡れてる。俺、泣いてたのか。
あの夢のせいで。
夢ってわかってても、みんなが俺にぶつけてきた言葉が俺の頭の中でぐるぐると回る。
俺のせいだ。
俺のせい。
翔にぃの誕生日なのに。
また、俺は置いてかれるのかな？
そんなこと考えてると、ズキズキと頭が痛くなってくる。
痛い、
痛い、
痛い、
けど、我慢しなきゃ。
全部俺のせいなんだもん。
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
