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「でも確かに、辻は女に慣れた方がいい」
「将来のためにも、な」
辻の両脇に回って、肩に腕を回す陽介と公平。
よく見かけるノリだが、辻の嫌そうな顔も相まってか、
側から見ればただのカツアゲだ。
「お前ら横になって歩くな。邪魔だ」
三輪に注意されて端に寄る一向。
大人数である。まさかこの7人で一緒になって歩くだなんて思っても見なかった。
陽介と公平は辻を挟みながら、その前に私と隠岐が並び、先頭に奈良坂と三輪が隣になって移動していた。
…遠足か。
「そういや次の上位のランク戦、風間さんが解説だったよな?」
公平の言葉で思い出した。
そうだ。そういえばそのランク戦、玉狛も当たるって陽太郎が言っていたな。
先程の電話で 今日の夜に来い と言われたのはもしかしたらその話かもしれない。
「お、辻が出るやつ?」
「おう」
「へぇ 俺もブースで見よっかな」
「その日は三輪隊は任務だ」
「あちゃー」
三輪の言葉を受けて、陽介はわざとらしく軽くおでこを叩いて 残念そうなフリをした。
三輪隊はなんといっても 隊長の三輪がしっかりしているのがいい。そして時々三輪の理性が吹っ飛んだ時に奈良坂がフォローに入るのも素晴らしい。
高校生チームでこれほど統率が取れているのは中々ないから。
まさに理想形だ。一番年下に尻を叩かれてるウチの隊とは大違い。
「俺は任務ないから、リアルタイムで見れるで」
「私もだ。カッコいいところ期待してるよ辻」
「っ?!?!?!」
はいウブ。
すぐ赤面してドギマギする辻に、思わず笑ってしまう。
「あはは」
「A、今のはお前が悪い」「ほんまに」
「え」
笑う私の右肩を後ろから公平が、左肩を隣の隠岐が ガシッと掴んできた。
痛い。と口に出して顔を顰めれば、二人とも溜息を吐いて離してくれる。
…なんだ。今の何がいけなかったのか。
よく分からないが、私が悪いというなら 今後辻への激励は控えるようにしておこう。
掴まれた肩をはたきながらそう肝に銘じた。
「瀬名。最近当真さんが合同訓練に来ない」
「勇さんが?…私に言われてもね…」
「伝えておけ」
「えー」
おかしいな…あの人最近合同訓練に行ってくると言って作戦室を出るんだけどな…
どこをほっつき歩いてるんだか。週末のランニング2倍にしとこ。
心の中で勝手に予定を立てながら、基地へと足を動かした。
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ろいど(プロフ) - 一気読みしました!!更新待ってます! (2022年2月25日 16時) (レス) id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 続き楽しみに待っています!!!! (2021年12月15日 0時) (レス) @page36 id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 続編ありがとうございます!この作品大好きで、更新されるのいつも楽しみに待ってるので頑張って下さい!!応援してます! (2021年2月16日 22時) (レス) id: e0fa08789a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無名 | 作成日時:2021年2月16日 21時